メルトブロー法でナノファイバーの大量生産に成功
ポリプロピレンやポリエチレンなどの原料をナノレベルの細さに生成したナノファイバーは、吸音、断熱、油吸着、保温、除染、ウィルス防御など多様な特性を持っています。しかし、これまでの生成方法である「エレクトロスピニング法(電解紡糸法)」※では量産が難しく、コストが高額になるという課題を抱えていました。
「そこで当社は従来とアプローチを変え、加熱によって軟化し冷却によって固化するという原料の熱可塑の特性を生かし、一度溶融させてから高温エアで特殊ノズルより吐出させて生成する『メルトブロー法(溶融紡糸)』を採用しました」
風圧の力を利用し、原料が引っ張られることで素材を生成する特殊ノズルの開発に成功したことで、直径500nmのナノファイバーを安定的に生成できるようになり、5000g/h〜8000g/hという量産も可能に。2017年には特許も取得しました。
「研究者たちは当時、細さを追求していました。確かに直径100nm以下の素材は従来の方法でしか作れません。ただ私たちは、細さは性能を保つことができれば充分で、それを大量に生産できたほうがいいのではないかと考えました」
同社が注力しているのは直径500±300nmの領域。この領域でもナノファイバーとしての特性は有しており、環境対策商品や機能性商品、アパレル商品、アグリ資材など幅広い分野での応用が進められています。細さを競うよりも、さまざまな可能性を秘めた新素材を大量にコストを抑えて素早く提供してほしいという市場のニーズを優先したことが、ブレークスルーの決め手になりました。
※紡糸ノズル内のポリマー溶液に高電圧を加えてナノファイバーを生成する方法
直径500±300nmのナノファイバーの量産を可能にした「量産型ナノファイバー溶融紡糸装置」の特徴を説明する近藤氏