PICK UP

誰でも、写真を撮る感覚で、手間なく3Dデータを作成【スチームパンクデジタル株式会社】

2020年 5月 12日

Monocle(モノクル) 3Dスキャナー
無料アプリで誰でも簡単に3Dデータの作成が可能
製品名=「Monocle(モノクル) 3Dスキャナー」

iPad・iPhoneと市販センサーを組み合わせて簡単スキャン

VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、そして仮想世界と現実世界を重ねて体験できるMR(Mixed Reality/複合現実)は、エンタテイメント分野にとどまらず、製品の利用イメージ表示、各種プレゼンテーション、職場での作業シミュレーションなどビジネスでも広く活用されるようになった。

専用コンテンツも数多く提供され、再生環境も充実し、3Dプリンタも低価格化によって普及が進む一方、3Dモデルを自分で作成する方法が高いハードルとなっている。この課題に対し、iPad・iPhoneと市販の低価格3Dセンサーを活用して、誰もが簡単に3Dモデルを作成できるようにしたのが「Monocle 3Dスキャナー」だ。

同製品はApp Storeから無料アプリとして入手できる。3Dセンサー「Structure Sensor」をiPad・iPhoneに接続し、同製品をダウンロードすると、複雑な設定なしにすぐ利用可能。ボタン一つで目の前の対象の高速スキャン、高速データ処理を行い、写真を撮るような手軽さで高品質な3Dモデルや3DスペースをiPad・iPhone上に再現する。

世界で認められた技術で高いユーザビリティを実現

作成データはOBJファイルとして保存され、PCを利用して3DCG作成ソフト「Blender」や、ゲーム開発プラットフォーム「Unity」などで読み込めるほか、iPad・iPhoneを用いてその場で共有、表示することもできる。

アプリ内課金でアップグレードできるPro版では、メッシュ解像度とテクスチャーの細かい設定や、ロスレスPNGテクスチャーの利用が可能。WebGL※1で表示するのに適したGLTFファイルやGLBファイルのほか、3DプリントしやすいSTLファイルへのエクスポートも可能だ。

開発・提供元のスチームパンクデジタル株式会社を率いるのは、Occipital社が提供するVR/MRヘッドマウントディスプレイに搭載された「BRIDGE Engine」の開発にも関わったアーロン・ヒルトン氏。同社では世界的な講演カンファレンス「TED Conference※2」でも高く評価された世界トップクラスのリアルタイム3Dデータ処理の技術力を最大限に活用し、ユーザーインターフェースや提供価値にもこだわりながら、プロレベルの3Dデータ作成を手軽に提供する事を可能にした。現在は、3Dモデルの動作や表情を再現できるアプリケーション開発も進めている。

※1 ウェブブラウザ上で、3DCGを表示させるための標準仕様。
※2 米国ニューヨーク市に本部がある法人・TEDがカナダ(バンクーバー)で毎年開催している大規模な世界的講演会

利用シーンが幅広いぶん、導入先も多様

重い機材を持ち運ぶことなく、どこでも、気軽に、目の前の物体や空間を3Dデータ化できる同製品を利用すれば、現実世界の人やモノを、まるでコピー&ペーストするような感覚で、どんどんVR空間に取り込んでいける。また、現在写真や画像で行っている作業に3Dデータを活用すれば、作業を「より効率的に」「より効果的に」「より正確に」「より感覚的に」することが可能で、すでにコミュニケーション、ディスプレイ、フィッティング、空間確認、ゲーム、エンターテインメント等さまざまな舞台での活用が始まっている。

ビジネス関連であれば、各種プレゼンテーション、製造業や建築業などにおける開発時のデザインレビュー、オフィスレイアウトのシミュレーションなどに加え、医療分野や人材開発分野におけるVR教育などでの活用も期待できる。また、ウェブ上で自社製品を3D化して見せたり、展示会などで来場者を3Dアバター化してシミュレーションを行うといった使い方も可能。実際、3DCG制作会社などはもちろん、イベント企画会社、建築会社、家具メーカー、医療・ヘルスケア分野など、導入先の幅は広い。

同製品はクラウドサーバーと連携可能な形で開発されており、今後は専用サーバーの開発でより便利なサービスの提供も行っていく予定。各種研究機関やほかの企業との連携も強化していきたい考えだ。

取材日:2020年3月2日

企業データ

企業名
スチームパンクデジタル株式会社

福岡県福岡市に拠点を置く、ソフトウェア開発企業。3Dスキャニングソフトウェアの開発を中心に、各種VR・XRシステムの開発やコンテンツ制作支援といったソリューションを提供している。国内外カンファレンスでのVR・XRに関する講演、各種講習会の実施、チュートリアル動画の作成など、VR・XRの発展を目指す発信活動も積極的に行う。