そして会社設立40年となる2019年、仲松氏は(1)アスリート社員の採用(2)新人研修のためのメンター制度の導入(3)本社など拠点を中心にしたエリア配送の開始—という三つの改革に着手した。このなかで特に注目を集めることになったのがアスリート社員だった。
アスリートの採用といっても、オリンピックに出場するようなトップレベルの選手を企業が広告・宣伝効果を狙って採用し、アスリートは練習や試合出場などに専念する、というものではなく、仕事と競技の両立を目指している。具体的には、時間調整が比較的容易な運送ドライバーとして働く一方で、試合に合わせて休暇を取得しやすくしたり、仕事を午前中だけにして午後は練習時間に充てたりと、スケジュールを管理する。このほかトレーニングルームの完備や遠征・合宿費用の補助といったサポートを行っている。選手引退後は同社で働き続けることも可能だ。
アスリートのデュアルキャリアを応援する制度を提案したのは元Jリーガーである人事課の赤沼平課長。赤沼氏は大学卒業後、プロサッカーチームに加入したが、「選手としての収入だけでは足りず、アルバイトで生活費を稼いでいた」。結局、選手の道を断念。いくつかの仕事を経て2016年、大松運輸で働いていた知人の誘いで同社に入社した。
「企業がスポンサーになるようなアスリートはほんの一握り。学校を卒業したあとも競技を続けたいと希望する大多数のアスリートを応援したいという思いがあった」と赤沼氏。また、運送業界では2024年問題でドライバー不足がいっそう不安視されており、「アスリートを採用することで人手不足の解消にもつなげたい。アスリートと会社がWin-Winの関係を構築できる共存・共栄型のアスリート採用だ」と話す。