「相手の立場に立つ」
「長期的にものを見る」
いずれも、藤沢語録である。
では、藤沢はどうしたか。具体的にいえば、製品を出荷して十数日で代金を全額回収するという手法をもちいた。 しかも、75%を現金で、残りは手形だが、この手形は問屋手形ではなく、ユーザー自身の手形を問屋や代理店が裏判したものであった。
なるほど、このやり方なら現金回収は早い。もっとも、ユーザーとの信頼関係がなければ先方は決して応じまいが。ついでながら、この方式は現在も、"ホンダ"で採用されている。
それにしても、このおりの藤沢の心中は、いかばかりであったろうか。
毎日がタイトロープ(つなわたり)であり、一つでも手形を落とし損ねれば、その被害は全体に及ぶ。さぞや、眠れぬ夜がつづいたに違いない。
マスコミはこのおりの"ホンダ"のあたふたぶりを、
「ホラ見ろ、本田のアプレが始まった」
と評したという。
(この項つづく)
掲載日:2006年4月12日