農業ビジネスに挑む(事例)

「ミマス」農商工連携でカクテルを開発・販売する青果商

  • 卸売市場と一般消費市場の双方で青果を販売
  • 農商工連携を始め6次産業商品を積極的に開発

渥美半島の付け根、愛知県田原市で青果の卸・小売業を営むミマスは、自ら農場を営む傍ら、農商工連携を活用してオリジナルのカクテルも開発・販売するなど意欲的にビジネスを展開している。

同社は、福井主税社長の父親が市内で営んだ青果商が前身だ。1979年に近隣に店舗(本店)を拡張したのを機にミマスが設立され、1985年に株式会社として法人化された。1992年および1995年に地元・田原市の道の駅(めっくんはうす、伊良湖港湾観光センター)に出店、さらには名古屋の中心街のアンテナショップで青果と加工品の販売を始めた。

卸売市場、一般消費者向けの販売と自営農場の運営

同社は産地仲買人の資格を持っているため、生産者から委託された青果を卸売市場および小売店、飲食店に販売する。また、一般消費者には本店と2つの道の駅、およびアンテナショップで青果と加工品を販売する。

同社は1995年、出荷する卸売先の数を増やした。販路を拡大するためであり、それまでの岐阜、名古屋に加えて関東の卸売先へも商圏を広げた。それに伴い取引先の農家や契約農家を徐々に増やしていき、現在では13軒の農家と8軒の契約農家と常時取引する。

2005年には自営農場を開設し、関連会社の農業生産法人「ミマスファーム」を設立した。18haの耕作地では主にキャベツを生産し、ほかにブロッコリー、グリーンリーフ、サニーレタスなども栽培する。自営農場で収穫する青果はすべて業務用として加工工場(野菜のカット工場)に出荷する。

自営農場を開設して農業生産法人「ミマスファーム」を設立

6次産業化の商品を次々に開発

2008年、同社はトマトを原料にしたカクテル「とまテル」とメロンを原料にしたカクテル「めろんハート」を農商工連携事業を活用して開発した。きっかけは、地元で余剰となってしまうトマトの用途を考えたことだった。生産者が丹精込めて栽培したトマトのうち市場に出荷できず余剰が発生してしまうが、これをどうにかしようと酒造メーカーなどと用途を考えた結果、カクテルの開発に至った。同社では取締役の福井かをりさんが連携体に参画し、デザインと販売を担当した。

自営農場を開設して農業生産法人「ミマスファーム」を設立

「とまテル」と「めろんハート」はミマスの本店および2つの道の駅、さらに田原市内のホテルなどで販売する。この農商工連携の成果物を筆頭に同社では6次産業の加工品として、とまテル、めろんハートに続き2011年にゼリー(トマトゼリーとメロンゼリーの2種)、2012年にトマトジュース、2013年に野菜せんべい(トマト、キャベツなど7種)と順次商品を拡大している。

現在、ミマスの年商は6億円。卸売と小売それぞれが50%。販売品目は青果が5億円、加工品が1億の内訳でカクテルなど自前の加工品は600万円強という。

今後は名古屋のアンテナショップでの売上げ拡大を図り、ミマスとしての売上げ向上を目指す。そして、そのポイントが「新鮮な食材」「旬の食材」の提供と捉え、自営農場および契約農家・提携農家で収穫される生鮮野菜・果実を都会の消費者へとアピールしていくとしている。

企業データ

企業名
株式会社ミマス
Webサイト
代表者
福井主税
所在地
愛知県田原市浦町丸山1-41