浄化槽の汚物量を自動測定するセンサーを中核技術に、浄化槽管理を遠隔監視するシステムづくりに取り組んでいる。浄化槽管理士の人材不足をDX化で乗り切りたいという思いからだ。私自身デジタルに関する知識は乏しかったが、浄化槽にセンサーを付けて管理できないだろうかと考え、一緒に開発してくれる方を探していた。紆余曲折があり、さまざまな方に相談するなかで、大阪大学発のスタートアップ企業である地球観測株式会社(大阪府吹田市)等と知り合い、共同開発することにこぎつけた。
浄化槽の中は汚物がたくさんあり、過酷な環境で問題なく動作させる必要があった。私たちは特定の条件の樹脂を3Dプリンターで出力しモーター等と組み合わせる事で問題をクリア、この検出方式は非常に安価に製造する事が可能で更に長期間ほぼメンテナンスフリーでの運用が可能である。センサーの技術は完成し、現在特許を出願しているところだ。今後はこのセンサーを用いて、データを送信し、遠隔で監視できるシステムまでまとめ上げていくことに取り組んでいく。これまでは人が浄化槽を一つひとつ点検していく必要があり、1日に12件程度しか回れなかった。遠隔監視を取り入れる事で、大量の浄化槽を同時にモニタリングし問題の発生した浄化槽のみに対応するようにできれば一日の対応件数は240件と遠隔監視を採り入れることで、これを240件と約20倍に効率化させることができるようになる。作業の負担も大幅に軽減できる。
香川県浄化槽協会からも評価をしてもらっており、まずは香川・四国地域で普及させていく。さらには全国展開を目指していく。そして、将来の目標は海外にもこのシステムを展開させていくことだ。浄化槽は環境立国・日本のものづくりが生み出した誇るべき浄水装置であり、世界の水を変える力を持っている。しかし、浄化槽の管理技術は高度であるため、技術移転や現地での運用が難しいことが市場開拓の大きな壁となっている。遠隔監視システムがあれば、たくさんの浄化槽を効率的に監視でき、点検にかかる負担を減らすことができるため、途上国でも浄化槽を普及させることが可能になるとみている。途上国ではきちんと処理されない汚水が河川に廃水されている地域も多い。浄化槽を普及させることは、世界の水問題の解決にも役立つ。実現には浄化槽メーカーや通信企業、JICAなど、多くの関係者の協力が必要だが、香川の小さな会社の思いが、やがて大きな動きになっていくと信じて取り組んでいきたい。