当店は、唯一の商品「特撰ガトーショコラ」(250g、税込み3000円)で年商3億円を売り上げるガトーショコラ専門店。元々は1998年にイタリアンレストラン「ケンズカフェ」として開業したが、当初は鳴かず飛ばずの状況だった。そこで、「おいしい料理を作っていれば売り上げは伸びる」という従来の考えを改め、経営やマーケティングの勉強を始めた。また、インターネットでの集客や広告にも力を入れたところ、業績は改善してきた。
ガトーショコラは開業時から料理に合わせるスイーツとして提供していた。「食は素材にお金をかけるほどおいしい」という考えから、「業務用チョコレートの最高峰」といわれる仏ヴァローナ社のクーベルチュールチョコレートを使用。客からの評判もよく、「テイクアウトで販売してほしい」との要望を受け、その後、2004年にテイクアウトを始めた。
こうした評判の高さがきっかけとなり、2008年にはガトーショコラ専門店「ケンズカフェ東京」へと名称を変えた。さらに2014年、それまで宴会に限って続けていたレストラン営業をやめ、完全にガトーショコラに専念することにした。高価格に見合う味と高級感、そして1日400本のみの販売という希少性から、特別なお土産やプレゼントとして売り上げを伸ばした。
また、「地方の実家に送りたい」などといった要望があり、ネット通販も開始した。すると、注文が全国から寄せられることとなり、ネット通販が売り上げ全体の7割程度を占めるまでになった。しかし、売り上げが伸びるにつれ、注文受け付けや発送などに手間暇がかかるようになり、さらには、「商品が届かない」「開けたら形が崩れていた」などといったクレームが寄せられ、負担が大きくなってきた。結局、2015年にネット通販から撤退。売り上げは一時、3割程度落ち込んだが、実店舗でしか購入できないことで逆にプレミアム感を増したようで、しばらくすると売上額も利益率もアップした。
ところが、コロナ禍で販売が一気にダウン。飲食店のように客が滞留することがないため、最初の緊急事態宣言期間中も店舗は開けて営業を続けていたが、外出制限に加え、接待や宴会が開かれなくなったことで手土産としての用途が激減し、来客数は1日10~20人程度。客数も売上高もコロナ前の10分の1になった。それでも長年にわたって築いてきた商品への信用があることから、「いずれ元に戻る」と信じ、国の補助金を活用して雇用を維持しつつ、営業を続けた。ただ、緊急事態宣言が解除された後も8割程度にしか戻らなかった。