海外展開成功のキーワードは「事業の再現性」
台湾の現地スタッフ
中国で飲食業を手掛けた経験をもつ田中副社長は、さまざまな日本企業の失敗を見てきたという。メーカーとして海外展開し成功している企業は多いが、サービス・小売で成功しているケースは非常に少ない。その理由は「事業の再現性」にあると田中氏は断言する。
海外で成功するためには、日本で成功しているビジネスモデルをいかに再現できるかが重要だが、実はサービス・小売では再現しにくいという。例えば、中国でラーメン店を開業したとする。スープを取るために取り寄せる豚骨の品質が毎日異なるため、同じ作業を行っても毎日同じ味を出すことが非常に難しいというのだ。これは商品の品質が再現しにくいということである。
また、従業員のサービス品質も日本と同じレベルで再現するのは非常に難しい。しかし、それら2つの要素を再現できれば、日本国内よりも大きなマーケットを持つ海外事業で成功する可能性は高い。
この「事業の再現性」という視点で整体事業をみると、ベッド1つ、極端なことを言えば床でも施術ができる。すなわち、原材料ゼロのビジネスであるため、原材料の質の差が商品・サービスに影響することはない。
しかし、日本の高いサービス品質をそれぞれの国において再現するのは困難だ。それに、サービスを提供される側もそこまで高いサービスを求めているわけではない。その意味からサービス品質を再現するという点では苦労したという。
ファクトリージャパングループは3年間で15か国に展開する計画だが、指導者を育成するためにまずスクール事業を手掛けている。施術で高い満足を与えるにはコミュニケーションが非常に重要であり、カウンセリングしながら施術をするというのが同社の施術の特徴である。悪い個所や考えられる原因、改善のポイントなどについて施術しながら利用客に指導する。寝てしまう利用客もいるリラクゼーション系マッサージとは大きく異なる。
施術前に症状や体調を確認し、1つの施術が終わるたびにその効果測定を行うという日本の店舗のサービス品質を再現するために、日本から派遣される指導者は技術だけではなくトークも教えるのだ。現地の患者になじむトークの開発には時間がかかるが、日本のマニュアルをベースに各国で対応できるよう取り組んでいる。
施術と同じくらいに重要なのがカウンセリングであるため、形から教えるために基本的なトークを丸暗記させる。マッサージは施術者によって品質にぶれが起きやすいが、整体は骨格に直接コンタクトするので施術効果で大きなブレは生じにくい。技術は訓練するほどレベルアップするため、サービス面での教育に時間をかける。日本と同じようなサービスを提供できる人材を育成するために躾から行う。
指導する上では明確な賞罰と的確な指示が必要であるが、指導する側もお金や時間などに関する約束は必ず守らなければならない。海外店舗のマネージメントは現地の人材が行うのがベストだと考える。技術の半分はトークなので、今後は現地のマネージャーにトークの現地適応化をさせることを考えている。これができれば、日本から派遣した教育スタッフは定期的なチェックだけで済むようになる。
最近、フィリピンでは地元大手企業がフランチャイザーになったが、1名の日本人スタッフを派遣し、開業までの2カ月間で人材育成を行っている。すでに1店舗がオープンしているが、2店舗目、3店舗目のオープンも決まっている。スピーディな事業展開は指導者を育てているからこそできることである。