社長就任から間もなく渡邊氏は独自のピアノ教室立ち上げに乗り出した。従来から運営しているヤマハ音楽教室のようなグループレッスンでは十分な広さの教室と一定の生徒数が必要だが、少子化で生徒数は減少傾向。その一方で、個人レッスンの教室では講師が生徒を厳しく指導する徒弟制度のような関係が多く、「先生(講師)が怖くてピアノを辞めた」という話をよく耳にしていた。「小規模で、しかも、楽しくピアノを習って笑顔になれる教室を作りたい」との構想を抱いたのだ。
そんな折、渡邊氏は2014年秋に従来の音楽教室の移転先として岡山県井原市内の大型商業施設を訪れた。すると、1階正面入り口の真横に広さ6坪ほどの空き物件があった。「ここなら多くの人の目に触れ、気軽に立ち寄れる。狭いスペースなので投資も少なくて済む」とひらめいた渡邊氏は、予定を急遽変更して、その物件を借りることに。そして翌年2月、独自のピアノ教室第1号がオープンした。ブランド名は「I Love Piano」。「私はピアノが大好き、と心の底から言いたい。そんな思いを込めた」として渡邊氏が命名した。
教室の看板には「vol.001」とのシリアルナンバーが付けられた。「教室が100カ所になっても困らないように」(渡邊氏)と最初から3桁に設定。その後も広島、岡山両県で5坪ほどの空きスペースを見つけては「I Love Piano」を開設。今年6月には岡山市内に17カ所目がオープン。教室のほとんどは生鮮食品売り場がある商業施設内に開設されている。「日常の延長線上にピアノがある」と考える渡邊氏のこだわりだ。