クラダシの画期的なビジネスモデルのポイントは、ただ余剰在庫を安価に売りさばくのではなく、商品の販売価格の1%~5%を社会貢献活動団体への寄付や支援に充てられる点だ。メーカーは企業イメージを損なわず、フードロスの削減もできSDGsの観点でブランドイメージも向上できるという大きな利点があること。いいことづくめだ。一方、ユーザーにとっての利点もただ安価に商品を購入できることにとどまらない。商品を購入する際に自身で支援先を選んで社会貢献活動への支援に参加できるのだ。ユーザーのマイページ上では、フードロスをどのくらい削減できたか、どのくらい寄付や支援をすることができたかの総額を確認することができるようになっている。フードロス削減や社会貢献につながる取り組みに参画している意識を”自分事“としてユーザーに捉えてもらえる仕組みとなっており、お得に買い物を楽しみながら社会貢献もできるという。まさに誰も損することがない、三方良しのビジネスモデルになっている。
現在は約1,500社のメーカーが出品し、3,300ほどの商品を取り扱い、50万人の会員を擁するクラダシ。それでも、まだ「道半ばだ」と関藤氏はいう。「日本のフードロス市場は年間8,500億円規模あると言われており、当社ではその1%も解消できていない」と、依然として深刻な状況には違いないが、「日本で最もフードロスを削減した会社」となれるようアイデアを絞る。いまは社員も60名に増え、その多くが社会貢献意欲の高い若手だ。社長といえども同じ志を持つ者たちと同じ目線で議論を繰り返し、柔軟に企画を取り入れていく様子からも、次世代を育てビジネスとして持続可能性を上げていこうとする関藤氏の姿勢が見て取れる。第一線で社長がぐいぐい引っ張っていくのではなく、社員とともに会社を育てていくのだ。
今年創立10周年を迎えるクラダシ。2022年6月には公益性の高い「良い」企業への認証であるB Corp認証を取得し、社会にとってなくてはならない存在になりつつある。社内に掲げられた「Be a Social Good Company」のワードは、Person(個人)からCompany(企業)へと言葉が変わったけれど、あの被災した大学生のころから常に関藤氏の心に刻まれていた信念なのである。