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「株式会社Waris」文系総合職の専門性を生かせる人材マッチング

中小企業にも優秀な人がくる ~ カギは柔軟な働き方を受け入れること ~

専門性やこれまでのキャリアを生かして働きたい。でも、夜遅くまでの残業が当たり前の生活は望まない——。大学卒業後、数年から十数年、総合職として働いてきた女性の多くが、出産後、こうした課題に直面する。

Waris(ワリス)は、文系総合職のプロフェッショナル人材に業務委託で仕事を紹介する、柔軟に働きたい女性たちと、固定費を上げずに優秀人材を獲得したい企業の双方にメリットをもたらす。代表取締役/共同創業者の田中美和さんにお話を聞いた。

株式会社Waris代表取締役/共同創業者
田中美和(たなか みわ)

事業を始めたきっかけ

—— 事業を始めたきっかけを教えてください。

もともと、女性が生き生き働き続けることを支援したい、と思っていました。そのため、キャリアカウンセラーの資格を取りました。

2012年に勤務していた出版社を退職し、フリーランスのライターになりました。時間と場所の制約なく働いて専門性を生かすことができて「本当に自由だなあ」と幸せを実感したのです。これは、女性に向いている、とも思いました。

ライターに加え、キャリアカウンセラーの仕事もしていましたら、人事系のフリーランスの方々に出会いました。そういった方々は、企業の採用や大学の就職課などでお仕事をしていた。こういう働き方もあるのだな、と気づきました。色々な分野でフリーランスという形態は成立する、と。

現代は市場の変化が速いです。コア人材を全て正社員でまかなおうとすると、企業の人材ポートフォリオが追いつきません。雇用とはちがう形でプロフェッショナルな人材を活かすことは、企業にとって経済メリットがあります。

正社員は今のところ、長時間労働が前提であり、時短勤務をすればマミー・トラックにはまってしまう。専門性を活かして、時間や場所の制約を受けずに働きたい女性にとっても、雇われない働き方は魅力があるはず、と思いました。

いろいろな方に自分のやりたいことをお話するうち、Waris共同創業者の米倉と河に出会いました。問題意識が共通しており、それぞれ、法人営業やキャリアカウンセリング、事業企画などの強みを持っていたので、一緒に何か始めたいね、という話になりました。

事業構造について

—— 事業構造はどのようになっていますか。

登録された方と企業をマッチングして企業から報酬をいただきます。現在、登録者は4200人で月100人ぐらいずつ増えています。平均年齢は38歳。30代~40代前半の女性が多く、出産・介護などライフイベントにより働き方を変えたいという希望を持っている。いわゆる文系総合職の方が中心で、広報・マーケティング、人事・財務・経理を専門にする方が全体の5割以上を占めています。

お客様の企業数は1300社になりました。7割は中小企業やベンチャー企業で、ニーズが大きいことを感じています。大企業の場合、新規事業で不足する人材を弊社のサービスで補いたいという事例が多いです。

専門性の高い非定型業務を扱うため、機械的なマッチングは行っていません。登録者とはお一人ずつ、キャリアカウンセラーが面談を行い、ご経験や人物像を把握します。顧客企業のご担当者には弊社の営業担当が出向いて課題やご希望をきめ細かくヒアリングすることで、マッチングの精度を高めています。それが、働く方とお客様企業の両方に満足いただくコアバリューになっている、と認識しています。

昨年、オリジナルのシステムを開発しました。登録者の方との面談や顧客企業への営業訪問は、弊社のスタッフが行います。この時間の付加価値をより高めるため、あらかじめシステムで対応できる部分はITを活用しようと考えています。

ターゲット

—— どなたに適したサービスか教えてください。

人材確保に苦労している中小企業の経営者に知っていただきたいサービスです。

人材をストックだけでなく「シェアする」と発想を転換すると、企業の選択肢は広がります。働き方を自由にして、リモートワークを受け入れ、その代わり、結果にコミットしてもらう。それだけで、これまで考えられなかった優秀層が来てくれるようになるのです。

弊社自体が創業5年目のベンチャー企業です。現在、従業員16名、役員3名と業務委託を入れると約20名の体制です。社員には男性も2名おり、そのうちのひとりは大手IT企業の部長だった40代です。彼が弊社に移った理由は、副業を認めているためでした。

「人生100年の時代」と言われます。一社に縛られず、パラレルワークをしてみたい、と考える人は男性でも少なくありません。多様な働き方を受け入れると、本当に優秀な人が集まる...と、私自身が経営者として実感しています。

ですから、人材確保に悩む中小企業経営者の方には、働く時間と場所の制約を減らしたりなくしたりすることで、良い人材がきてくれます、とお伝えしたいです。今は、事業の魅力と働き方の多様性が人を惹きつける時代ですから。

創業期の様子

—— 創業期の様子を教えてください。

起業前にある方からアドバイスをいただき、ビジネスコンテストに出場しました。夢を語るだけでなく、実際に数字や事業計画を作ってみたらいいのではないか、と言っていただいたのです。

特に、創業期に応募した「かわさき起業家オーディション」は良かったです。2カ月に1回開催しており応募しやすかったことに加え、選考面接の際、中小企業診断士の方からいただいたご助言、事業モデルを評価いただいたことで自信がつきました。

2013年4月に会社を設立し、6月にサービスを開始しました。最初の半年はひたすら顧客企業・登録者を集めることに専念しました。リスクを極力減らすため、最初はシェアオフィスを活用し、創業メンバーは他の仕事で収入を得つつ進めていきました。サービス開始から半年後にマッチングそのもので売り上げが立つようになっています。

創業2年目には、日本政策投資銀行主催の「女性新ビジネスプランコンペティション」に応募しました。コンテストで入賞すると、元マッキンゼーの50代経営者の方から1年間メンタリングを受けることができて、これが大変ありがたかったです。 3年目には東京都のアクセラレーションプログラムに応募し、採択いただきました。

ビジネスコンテストの意義は、賞金など経済的なものに加えて、面接過程や副賞としていただけるメンタリングだと思っています。また、出場したベンチャー企業の方々や主催団体・審査員の皆様とネットワークができることも励みになりました。

今後の展望

—— 今後の展望を教えてください。

これまで首都圏中心に事業を展開してきました。昨年から、名古屋と福岡でも展開を始めまして、名古屋では愛知・三重・岐阜県など中京エリア、福岡では福岡・北九州エリアをカバーしたいと思っています。

また、新しい取り組みとして、"Waris ワークアゲイン"プログラムを始めました。一度、離職した女性をインターンとして企業が受け入れます。2016年はサイボウズさん、2017年はJTさんが受け入れて下さっています

多様な生き方、働き方を支援するため、多くの企業にご参加いただけたら嬉しいです。