窮地を救ったのはテイクアウトのネット注文だった。コロナ前まではテイクアウト注文は電話でリアル対応していたが、それだと店の定休日や営業時間外のオーダーを取ることができない。またスタッフが1回の注文に対応するのに約5分を要するので、注文を受けるにはそれなりの人数も必要だった。
そんな課題を解決するため、今年2月、中小機構四国本部が主催したIT勉強会に参加。テイクアウトのネット注文のノウハウを習得し、勉強会の成果を活かしてSNS投稿を強化して周知を図るなど準備を進めていた。
満を持して3月からネット注文を始めたら、コロナが顕在化。コロナ感染を恐れるお客様には利用しやすかったようで、おうち需要の高まりとともに需要が急増。今年5月のテイクアウト売り上げは前年同月比で10倍も売上を伸ばした。
テイクアウトメニューでとくに力を入れたのは日常使いの商品とハレの日を彩る商品のメリハリだった。日常使いでは家族のためにご飯だけ炊けばいい「おかずBOX」2人前1000円を売り出したところ好評を得た。ハレの日向けでは特別感を演出するオードブルもおうち時間にぴったりだった。このあたりは店舗運営の傍ら2男1女を子育て中の自分の経験が生きたと思う。
事前準備はオンライン通販でも奏功した。今年2月からインスタグラムで自社オリジナルのアイスケーキをPRしており、リンク先のECサイトから徐々に注文が伸びた。6月にはコロナ禍で売れずに廃棄処分になってしまう牛乳をメーカーから引き受け、アイスクリームに加工、「おうちアイス」と名付けてSNSでオンライン販売を始めたら、1日で300個が売れた。店舗受け取りの各種ケーキの予約も、手数料無料のGoogleフォームを使って予約ができるようにしたところ、ホールケーキの注文数はコロナ前の10倍になった。
自粛期間を利用して固定費と変動費の見直しも徹底的に行った。この経費は必要か不必要か、在庫を持ちすぎてはいないか、ロスはどれくらい出ているか、社員を中心に協議し、仕入の部分のムダをなくす意識を高めていった。労務関係や設備面でも、自治体の補助金や助成金を活用してスタッフの給与を確保し、社員さんの所得を減らすことなく店舗の時短営業を行っている。学生アルバイトや育児中のパートのママさんにも給料を保証し、しっかり休む体制をつくるなど労務面もしっかり取り組んだつもりだ。