中小企業応援士に聞く

日本の木材産業を支える国内シェアNo1企業【エノ産業株式会社(北海道東川町)代表取締役社長・小関政敏氏】

中小機構は令和元年度から中小企業・小規模事業者の活躍や地域の発展に貢献する 全国各地の経営者や支援機関に「中小企業応援士」を委嘱している。どんな事業に取り組んでいるのか、応援士の横顔を紹介する。

2021年6月9日

小関政敏代表取締役社長
小関政敏代表取締役社長

1.事業内容をおしえてください

初代チェーン式バーカー(1964年)
初代チェーン式バーカー(1964年)

1964年、北海道で原木(丸太)の皮むきを斧やチェーンソーを用いた手作業で行っている状況に課題を感じた先代社長が、「チェーン式バーカー」という原木の皮むき機を発明し、その製造販売会社として創業した。

その後、チェーン式バーカーを発展させたリング式バーカーや、原木の乾燥工程で使用する乾燥機、原木の切断に使用するデッキソーなど周辺機器の製造も開始。現在はバーカー専業メーカーとして国内市場の約95%を占め、海外でも世界3大バーカーメーカーの一つに数えられている。2020年度には経済産業省の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を受賞した。

2.強みは何でしょう

最新のリング式バーカー(RDシリーズ)
最新のリング式バーカー(RDシリーズ)

バーカーは搬送機器などの周辺機器を含める購入金額が1億円規模と高額になるため、顧客の信頼を勝ち取ることが最も重要だ。

当社は現行の機械部品の耐久性、修理、メンテナンスを容易にすることで、納入後も顧客が使いやすい機械にすることに力を注いでおり、顧客の生産時の時間短縮や労働時間の短縮にも貢献している。

原木の皮むき機は大型化、高速化の要望が高まっているが、当社では機械を単に大型化、高速化するだけでなく、顧客ニーズに合わせた機械に調整するとともに、故障時にも迅速に対応するため過去製品の部品在庫を多く取り揃えている。

また当社の原木自動切断機は決められた寸法を自動で切るのではなく、原木径や長さで切り方を変えることができる。原木の歩留り向上を通じて、顧客の業績向上に貢献するとともに木材という限りある資源の有効利用を図っている。

3.課題はありますか

原木の切断ライン
原木の切断ライン

国内に限らず世界的に森林資源の縮小が進んでおり、加工する丸太自体が減少している状況に危機感を感じている。これまでは海外産の丸太も輸入されていたが、現在は国産材が大半を占める。数少ない丸太をいかに無駄なく高い歩留まりで加工していくかは大きな課題であり、当社の力の見せどころだと考えている。単に木材の体積(材積)の歩留りを高めるのではなく、木材の持つ価値を総体的に最大化するよう向上に努めていきたい。

4.将来をどう展望しますか

原木に照射した半導体レーザーで形状解析
原木に照射した半導体レーザーで形状解析

運搬ラインに取り付けたセンサーで原木を検知し自動で切断するなど、製品ラインの自動化に早期から取り組んできたが、業界全体でも省人化・省力化がトレンドとなっており、更なる工夫が求められている。人間の目により近い繊細な加工を行うため、カメラを使った監視システムや丸太の検知システムの導入を進め、更なる自動化を図っていく。また多様化する顧客ニーズに応えられるよう、既存の技術を生かした製品改良にも引き続き取り組んでいく。

5.地域や業界とのつながりで、御社が大切にしていることは何ですか

バーカーを設置する際は原木加工の前後行程を担当する事業者と連携する場面が多い。設置した機械は長きに渡りその地域で活躍していくため、業界や地域との繋がりは重要だと考えている。顧客のみならず、連携する事業者や地域からも信頼される企業を目指して事業を行っていきたい。


企業データ

企業名
エノ産業株式会社
Webサイト
設立
1964年3月
代表者
小関政敏 代表取締役社長
所在地
北海道上川郡東川町北町10丁目1番1号
Tel
0166-82-4000

同じテーマの記事