内丸氏は京都女子大学を卒業後、菓子等のパッケージをデザインする仕事を経て、繊維や布をデザインするテキスタイルデザイナーに。イギリスで働きながら大学でテキスタイルデザインを本格的に学び、帰国後は再び京都へ戻って仕事を続けた。しかし、流行のサイクルが短いアパレル業界では売れ残りなど大量の衣類が次々と廃棄されている。アルミ缶やペットボトルなどと異なり、繊維は様々な素材が混紡・混織されていることがネックとなって廃棄繊維のリサイクル率は26%程度にとどまっている。「せっかくデザインしても、ごみを増やしているようなもの。作るだけではダメだ」という葛藤に苦しむようになった。
そんな折、繊維リサイクル研究の第一人者である京都工芸繊維大学の木村照夫教授(現在は同大学名誉教授、カラーループ顧問)のことを知り、2011年に同大学の大学院に入り、木村氏に師事。新たなリサイクルシステムの研究を進めていくなかで内丸氏が着目したのは「色」だった。廃棄繊維は主に工場のウエス(機械手入れ用の雑巾)や反毛など産業用資材にリサイクルされており、しかも雑多な繊維を無作為に処理しているため色合いは埃のような暗灰色となる。「最初に人の感性に訴えるのは色。埃のような微妙な色では消費者はワクワクしない。消費者にとって魅力的な素材、商品を作らないとリサイクルは進まない」。内丸氏は、繊維を色で分別するしかないと考えた。
廃棄繊維の山を想定して、ざっくり分別していやな色にならない法則を見出そうと官能検査を実施。色の組み合わせや比率などの数値化に成功し、色をベースにした「カラーリサイクルシステム」を確立した。実際の製造現場で多少の作業ミスが発生することを織り込んで、「異なる色の繊維が一定程度混ざってもいやな色にならないよう数値には幅を持たせている」(内丸氏)。