コロナ禍でがんばる中小企業

「リアルのマラソン大会ができない!」 オンライン大会が新たなビジネスチャンスに【株式会社ファインシステム】(兵庫県加古川市)

2022年 7月20日

スポーツ競技を縁の下で支えるファインシステムのスタッフたち
スポーツ競技を縁の下で支えるファインシステムのスタッフたち

1.コロナでどのような影響を受けましたか

ICチップを活用してマラソン参加者全員のタイムが記録可能に
ICチップを活用してマラソン参加者全員のタイムが記録可能に

当社は、歯科技工所に勤務していた創業者が技工所の経営難を救おうと、1980年代に販売管理ソフトを開発するところからスタートした。開発したのは、歯科技工所の業務負担を削減し、経営状況を可視化・分析できる販売管理ソフト。それが、現在の「いればくん」シリーズの礎となった。

ソフトは勤務していた技工所の経営改善に効果を上げ、1986年に会社を設立し販売を開始。利用者のニーズに対応し、改良・開発を繰り返すうちに「いればくん」は口コミで業界に広がり、全国に販売展開するまでになった。その技術をベースにソフト開発やホームページ制作などの事業を展開。多種多様な課題をITとデザインの力で解決することで、ステークホルダーのみなさんに喜んでいただける企業に成長した。

90年代にはスポーツイベントの業界との関係が生まれ、マラソン大会をはじめボートやカヌー、アーチェリー、馬術といったさまざまなスポーツ競技でのタイム計測や集計業務を手がけるようになった。

全国各地で開催されている市民マラソン大会では、ゼッケンなどに取り付けたICチップを活用して、1000人規模の参加者一人ひとりのタイムを正確かつスピーディーに記録。主催者やランナーのみなさんに大変喜ばれている。この自動タイム計測業務に関しては、コロナ前には年間約130レースの計測。当社の売り上げの半分を占める大きなビジネスに成長した。

ところが、コロナ禍で、全国的に大会開催の自粛が広がり、実際に開催された競技は20レース以下にまで減ってしまった。スポーツイベント事業部の売り上げは、コロナ前と比較して20%以下になってしまい、一時期休業をせざるを得ないところまで追い込まれた。

2.どのような対策を講じましたか

コロナ禍にオンラインのマラソン大会を企画。新しいスポーツの楽しみ方を提案している
コロナ禍にオンラインのマラソン大会を企画。新しいスポーツの楽しみ方を提案している

「IT×Design(デザイン)のチカラで、幸せにして、幸せになる」が当社のミッション。 「ピンチをチャンスに!!」を心に、コロナ禍でも誰かの幸せに役立つことができるステージを模索し、オンラインでのスポーツサービスに着手した。

コロナ禍による自粛生活を強いられ、人と集まり、ともに喜びを感じる機会を誰しも奪われてしまった。ランナーのみなさんも、共に走り、共に記録をたたえあう「リアルの大会」への参加の機会を失い、モチベーションを落としてしまう人も少なくはなかったはず。そこで、オンラインによるネット上のマラソン大会を立ち上げることにした。

兵庫県加古川市にあるファインシステム本社
兵庫県加古川市にあるファインシステム本社

オンラインのマラソン大会は、リアルの大会とは違い、一つのマラソンコースに集まるのではなく、指定の期間に一人ひとりが自ら設定したコースを走り、自身で計測したタイムを専用の投稿フォームに入力してもらい記録を競ってもらう。いまは、GPS機能を活用したスマートフォンのアプリを多くのランナーが利用しており、距離とタイムはほぼ正確に記録できる。当社は、ランナーが入力したタイムを集計し、リアルタイムでランキング化するシステムを構築した。このシステムの開発によって、離れていてもみんなとネットを通じてつながり、楽しめる新しいタイプのマラソン大会を実現することができた。

商品のPRや効果計測を目的に参加者に試供品を提供してくれるなど企業の関心も高まっている。ユーチューバーとのコラボによる地方創生・社会貢献をコンセプトにした大会を開催したり、企業向けに健康経営やSDGs(持続可能な開発目標)の推進をテーマにした大会を開催したりと、さまざまな目的で大会を企画し、リアルな大会を開催できなかった自治体や団体に高い評価を得ている。コロナ禍で大会の開催が激減した2年前から比較して、スポーツイベント事業の売り上げは、リアルの大会が回復しないなかでも、昨年対比70%増と復活の兆しをみせている。

3.今後はどのように展開していく予定ですか

代表取締役CEOの塩原正也氏
代表取締役CEOの塩原正也氏

リアルに開催される大会とオンラインによる大会には、全く異なる利点がある。

「リアル」は集まることで現地に足を運び、その土地を感じ、共に過ごす人たちとの親睦や共感を深められるが、時間と費用という課題が発生する。これに対して「オンライン」は参加者にとって、いつでも・どこでも・誰とでも、安全かつ安価に参加することができる。主催者側にとっては、「リアル大会」に比べ、人件費や交通費などの経費が抑えられるメリットがある。短いインターバルで何度でも手軽に開催することも可能だ。年に一度のリアル大会に比べ、面白い企画やアイデアも反映しやすいという利点もある。

こうした利点を活かしながら、リアルではなし得なかった“お役立ち”をオンラインで提供する。また、リアルとオンラインを同時開催するといった具合に、オンラインマラソンはこれまでにない価値をもたらしてくれる。「顧客、エンドユーザー、当社、社会」—。それぞれにとって、良い現実をもたらす四方良しとなるサービスとして成長・発展させたいと考えている。

企業データ

企業名
株式会社ファインシステム
Webサイト
設立
1986年11月
代表者
塩原正也 氏
所在地
兵庫県加古川市加古川町平野 185-1
Tel
079-420-6601