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軽量・高強度のアルミらせん水車で、落差がほとんどない(50cm以下)所でも発電が可能に【協同アルミ株式会社】

2020年 4月 14日

アルミの嵌合材で製作したマイクロ水力発電装置用のらせん羽根
アルミの嵌合材で製作したマイクロ水力発電装置用のらせん羽根(外径90cm)
製品名=「アルミらせん水車を用いたマイクロ水力発電装置」

アルミで強度と軽さを兼ね備えた水車用のらせん羽根を製作

地球温暖化の進展や頻発する大規模自然災害などへの対応を考えた時、太陽光や水力、風力といった再生可能エネルギーへの転換は欠かせないテーマだ。なかでも水力は、太陽光と異なり基本的に24時間持続的な発電が期待できるとともに、風力に比べて小さい装置で大きな力を得られるというメリットもある。

大規模水力発電装置の適地がほとんど残っていないこの日本において、小水力による発電に活路を見出したのが協同アルミ株式会社だ。同社が開発した「アルミらせん水車を用いたマイクロ水力発電装置」は、ほかの発電用水車に比べ落差が少ない場所でも電力を確保できるらせん水車で、従来鋳物・切削や扇状鉄板の溶接でしか作れなかったらせん羽根をアルミの嵌合材で実現。これにより強度と軽さの両立に成功している。

分割したアルミをブロック状に組み、巻きつける技術で特許を取得

製品化にたどり着いたポイントは、らせん羽根の形状をアルミ加工で実現できたことだ。分割した複数のアルミ嵌合材をブロックのように組んだ上で、それを軸に巻きつける特許技術を開発したことで、周長に長短違いがあるらせんの内外径への対応に成功。しかもこのアルミ嵌合材の数を増やせば、らせん羽根の外径幅も自在に変えられるようになり、水路幅にあわせた高精度ならせん羽根を簡単に製作できるようになった。

現在、富山県の小学校の田んぼビオトープの小川に設置され、夜間照明の電源などとして活用されている同製品。その価値を最大化できるのは、農業用水路への設置のようだ。石川県立大学からの共同研究データによると、石川県手取川流域の農業用水路・七ヶ用水における非灌漑期の年間の包蔵水力だけでも、一般家庭の使用電力量約2000世帯分に匹敵するという。同製品を活用すればこうした自然エネルギーを、家庭の電力はもちろん、例えばハウス栽培の照明や必要設備の補助電力として使用することも可能。当然、災害時など非常用の電源としての活用にも期待がかかる。

連携によりメンテナンス対応力を強化したい

同製品を構成する「アルミらせん水車」と「マイクロ水力発電装置」のうち、発電装置の方は定期点検やメンテナンスなど、納入後の対応が非常に大切。同社は、各地域・各分野でメンテナンス技術を有する事業者と連携を図ることで今後の展開につなげたいとしている。

こうした連携はもちろん、製品そのものを導入することによって、事業価値の向上を実現できる企業は少なくないだろう。

取材日:2020年2月4日

企業データ

企業名
協同アルミ株式会社

1973年富山県高岡市で設立。アルミ形材アール曲げ加工技術の専門分野で、建材から車両、一般機械部品までを幅広く扱う。近年は、マグネシウムや樹脂形材の曲げやねじり加工にも対応。省エネ軽量化時代に対応し、アルミ形材の断面設計を含めた曲げで高品質な商品をタイムリーに提供する。