爪楊枝屋として何かできる事はないか、と考えていたときTwitterの映像で中国・武漢の人達がエレベーターに設置してある爪楊枝でボタンを押しているのを見た。国産爪楊枝製造を本業とする当社も負けていられないと思った。設置タイプがあるなら、国産材で持ち運べて自分専用の物があればいいなと考え、「非接触棒」を作った。
口に入れるわけではないので先を尖らす必要はない。製造過程で機械に通らなくなった北海道産の白樺材を使って試作品を作り、4月22日にSNSを通じて友達に感想を聞いてみた。するとかなりの好感触で、思い切って商品化してみようと量産体制を整えた。
木材なので使用後は燃えるゴミに出すことができる。エチケットを守って捨てられるよう使用済み入れもセットして、値段は1箱120本入り568円(税別)。笑いの街・大阪の町工場らしく語呂合わせにこだわり、567円(コロナ)に勝つという意味で1円多い568円だ。パッケージには「さぁ、思う存分つつくがよい。」というコピーも添えた。エレベーターやインターホンのボタン、クレジットカードの暗証番号入力、バスの降車ボタンなど、指で直接押したくないときにこれ一つ。コロナ禍のなか、ちょっとでもクスっと笑えて人にプレゼントしたり、お店に置いたり、話のネタになればいい。
ECサイトを準備し、ホームページを更新し、プレスリリースも配信して4月28日に発売したところ、直後からお問い合わせの電話が相次ぎ、TV・新聞・雑誌から取材依頼が来てものすごい反響となった。「詰め替え用がほしい」という声に応えて、非接触棒の中身のみを簡易パッケージに入れた「おかわり」(200本×2袋)も発売した。「さぁ、もっともっとつつくがよい」のコピー付きだ。
販売数は累計約5000個。5人の従業員はみな「今まで作った事がない商品なので楽しい」と言って作業してくれた。テレビや新聞を見た人から励ましや応援の電話も頂いた。非接触棒が取り上げられる事で、河内長野市の地場産業が爪楊枝であるということを広く知ってもらうきっかけになったのも、とても良かったと思う。