コロナ禍でがんばる

職員総出でオンライン陶器市開催サポート 売り上げと新規顧客獲得【有田商工会議所】(佐賀県西松浦郡)

2020年10月12日

Web有田陶器市のHP画面
Web有田陶器市のHP画面

1.コロナでどのような影響を受けましたか

2019年の有田陶器市の様子
2019年の有田陶器市の様子

有田陶器市は戦前から続く伝統の陶器市だ。地元の販売店が軒先に商品を並べ、対面販売・サービスを提供してきた。近年はゴールデンウィーク時期に開催し、卸し業者から個人客まで、会期中は九州を中心に全国から会期中のべ120万人の人出を誇る。

数えはじめて117回目にあたる2020年も4月29日から5月5日まで開催する予定で、商工会議所や有田町も告知ポスターのデザインを公募し作成するなど準備を進めてきた。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で3月末に開催延期決定を余儀なくされてしまう。わざわざ足を運んでいただくお客様に陶器市をお楽しみ頂くことが出来なくなるとともに、期間中の売り上げを見込むことも出来なくなった。

2.どのような対策を講じましたか

職員がECサイト構築をサポート(4月上旬、有田商工会議所会議室)
職員がECサイト構築をサポート(4月上旬、有田商工会議所会議室)

延期の判断をしたものの、今後開催可能な時期は未定のまま。何とかしてお客様に陶器市の楽しみをお届けしたいと考え、オンライン開催に舵を切った。開催時期はリアル陶器市と同じ4月29日午前9時から5月5日午後5時。3月末の延期決定から開催初日まで、およそ1カ月しかない。職員12名はほとんど総出でオンライン開催に向けて動き出した。

とはいえ、初めてのオンライン開催だ。職員はECサイト立ち上げのための勉強会や講習会に参加し、出展店のサポートをすることにした。参加129店のうち、45店がHPやECサイトを保有していなかった。職員をグループ分けして担当を決め、商品写真の撮影やサイトの立ち上げなどをサポートした。

陶器市のプラットフォームも専門家の助言を受けながら、単純なショッピングサイトではなく地域のエリアマップに店舗を配置し、いろんな店を回遊できる仕組みにした。サイトを訪れた人に陶器市を疑似体験してほしかったからだ。

2000円以上の購入者には、送料全額を有田町が負担するなど、自治体が全面的なサポートをしてくれた。コロナ禍での前向きな取り組みだったことから、地元のテレビやラジオ、新聞・雑誌も数多く取り上げてくれた。

7日間の会期中、サイトへのアクセス数は約46万を数えた。ユーザーの平均のページビューは3ページ、滞在時間は8分、直帰率は22.23%。通常のECサイトより滞在時間が長く、直帰率が低く、リピートも多い購入目的の高いサイトとなり、2億4000万円を超す売り上げを記録した。開催中止のままではゼロだった売り上げを獲得し、多くのメディアに取り上げられたことで有田陶器市の知名度も向上した。

3.今後はどのように展開していく予定ですか

来年はリアル陶器市の楽しさも提供したい
来年はリアル陶器市の楽しさも提供したい

開催後に実施した参加店舗のアンケートを見ると、ほとんどが実施して良かったと回答しており、オンラインの大切さを実感したという結果が得られた。

オンライン陶器市では、女性が7割、九州以外が7割、20代から30代が約3割と、リアル陶器市とは異なるお客様からの購入やアクセスがみられた。「ちょい買い」世代である若年層女性のお客様には、2000円以上送料無料が奏功したようだ。新しい顧客を獲得できたし、商品の窯元は自社ブランド販売のほか次の戦略につながる顧客情報を得ることができた。

オンライン陶器市でせっかく新規の顧客を獲得できたのだから、来年度以降、リアル陶器市が開催可能となったとしても、オンラインでの取り組みは引き続き継続する方針だ。オンラインとオフラインの販売チャネルを組み合わせ、相乗効果でより多くのお客様に有田焼を知っていただき、販路拡大につなげていきたい。

団体データ

団体名

有田商工会議所

Webサイト
設立

1948年1月7日

代表者

深川祐次 会頭

所在地

佐賀県西松浦郡有田町本町丙954-9

Tel

0955-42-4111

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