山﨑社長は中学卒業後、大工見習いに5年ほど従事した。大きい会社をつくりたいと20歳で起業し、中古車販売を手始めに様々な事業を経験した。30歳を過ぎて知人を頼って欧州へ渡り、数百年前の建造物が残る街並みを見て感動。「100年後も続き、人類に貢献できる事業を興したい」と強く想った。
志を抱いて帰国後、知人の紹介でストーンペーパーに出会う。木や水をほぼ使わず、石灰石を原料としたストーンペーバーを台湾のメーカーが製造していると知り、現地に赴いてしくみを学ぶ。木材を伐採し大量に水を使って製造する既存の紙の代替となりうるストーンペーバーを日本に普及させたいと2008年に同社の輸入元になる。
だが、台湾の製品は紙の厚みが均一でなく、印刷適性が安定しなかった。ほかにも普通の紙に比べて比重が重いなど様々な問題があった。そこで日本製紙の元専務取締役で現TBM取締役会長の角祐一郎氏に相談し、自社開発に踏み切った。
2011年に株式会社TBMを設立。経済産業省の補助金の採択を受け、東日本大震災後の地域雇用に貢献できるよう宮城県白石市に工場を建設。資金難に苦しみながら開発に6年をかけ、2016年に初めての製品としてLIMEX製の名刺を発表した。
それからはとんとん拍子だ。凸版印刷と、LIMEXの特性を活かした用途拡大に向け共同開発を進めることで基本合意。アメリカ法人を設立し、米シリコンバレーでベンチャー企業を育成するアクセラレーターPlug and Playによる「世の中に最も社会的影響を与える企業-ソーシャルインパクトアワード」を受賞する。
2017年はラクスル(東京都品川区)と協業を開始しLIMEX製品を拡充。日揮、サウジアラビア国家産業クラスター開発計画庁とサウジアラビアでのLIMEXの開発及び製造活動に向けて基本合意も締結した。日本だけで製造して輸出するのではなく、海外の工場に技術ライセンスを提供し、現地の需要に合わせた製品を生み出すグローバル展開を目指す。
LIMEXを採用している企業は国内に約4000社。海外からも約500件の引き合いがあり「今後、生産体制を強化し、お客さまの要望に応えていく」と菊田さん。2020年には宮城県多賀城市に第二工場が完成予定だ。