芋焼酎の魅力を知った冨永氏は2016年、鹿児島県酒造組合主催のミス薩摩焼酎に選ばれた。1年の任期中、焼酎関連のイベントに参加するなかで「イベントに来るのは元々焼酎が好きな人たちばかり。女性や若い人など新規のファンを増やさないといけない」と考えるようになった。ミスに選ばれたのを機に新聞社を辞め、副業とリモートワークが認められている東京都内のIT企業に転職。任期後も仕事の傍ら焼酎関連のイベントを都内で開催し、20~30代の若者を中心に焼酎の魅力をアピールした。すると、冨永氏と同様、大きく進化していた焼酎へのイメージがアップデートされた人たちが多く、手応えを感じたという。
そして2020年のコロナ禍が大きな転機になった。たまたま実家に帰省していたときに緊急事態宣言が発令され、鹿児島にとどまってリモートワークを続けた。その際、鹿児島最大の繁華街・天文館がゴーストタウンになったかのような様子を目の当たりに。「飲食店が営業できないと、酒屋や酒蔵、そしてサツマイモをつくる農家も苦境に立たされる」と冨永氏は焼酎産業の危機を強く感じた。折しも「基腐(もとぐされ)病」というサツマイモの病気が蔓延しており、農家は極めて厳しい状況に陥っていた。
「焼酎の課題解決のために事業として取り組む必要がある」と痛感した冨永氏は起業を決意。2022年6月にLINK SPIRITSを設立した。社名にある「LINK」には「サツマイモ農家や焼酎蔵などの作り手と飲み手とをつなぐ」「焼酎を通して世界とつなげていく」などの想いが込められている。