同社がCO2冷凍機の開発に着手したのは、2012年。温室効果が高い代替フロンの規制問題が浮上する初期の段階だった。当時、小型のCO2冷凍機は市場にあったものの、CO2は圧力が高く耐圧性が求められるため、産業用の中型・大型のCO2冷凍機は無かった。また、CO2は気温30度Cを超えると気体と液体が混合して制御が難しいとされ、適用できるのは北欧やスイスなどの夏でも涼しい地域だけという状況だったからだ。猛暑の時期には40度Cを上回ると電気の使用量が上がるなど極端に効率が悪くなり日本ではとても使えないというのが、当時の常識だった。原田社長は社員2名を連れてドイツに渡り、CO2冷媒技術を一から学んだ。そして、試作機を作り、実験を重ねていった。目指したのは「外気温度50度Cでも運転可能で、かつ省エネになる冷凍機」。さまざまな試行錯誤の末に誕生したのが、製品名「スーパーグリーン」だった。
スーパーグリーンは、日本の夏に耐えられる仕様として、圧力の異なる高段と低段の2種類の圧縮機を複数台設置して、圧縮機1台ごとに対になるインバーターで運転制御を行うことで、気象条件や負荷変動に応じたきめ細かい運転を行えるようにした。また、冷えたCO2冷媒液をユニット内のタンクに貯蔵することで、外気温の変化の影響を受けにくくしたり、猛暑時に室外機に作動する散水ノズルを設置したりするなど、さまざまな工夫を凝らした。2016年に最初の冷凍機が完成、2017年にスーパーグリーンの製品名による販売を開始した。オゾン層破壊への影響はゼロ、地球温暖化への影響は1、さらに省エネ性能も既存の特定フロンを用いた冷凍機と比べて20-40%低減という画期的な新製品だった。ここまで来るのに5年の歳月を要した開発だったが、地球温暖化対策が産業界にとっても大きな課題となりつつあり、代替フロンへの世界的な規制が始まるタイミングであったことから、新製品への注目度は高かった。2019年には省エネ大賞の中小企業庁長官賞、2023年には、ものづくり日本大賞の優秀賞を受賞するなど高い評価を獲得した。
スーパーグリーンを採用したユーザー企業は、地球温暖化対策を意識したのはもちろんだが、それだけで同社の製品の採用を決めたわけではない。スーパーグリーンの導入費用は、他社の製品と比べて5割程度高い。環境省の補助金を活用できればほぼイーブンになるが、それでも高額なのは確か。しかし、省エネ性能が高いため、ランニングコストを大幅に低減できることが何よりも強みになっている。最初に導入した企業も半信半疑だったが、実際に稼働するとエネルギーコストを20-40%低減させることができ、すぐに追加の発注を決めたという。こうしたランニングコストの低さが口コミで広まり、これまでに、冷凍冷蔵倉庫や大手食品メーカー、化学メーカーなどに約600台が販売され、北海道から九州、沖縄まで全国に設置されている。