夢ケーキのイベントで庄司氏は参加者に対してこう話している。「夢を口にする、形にしてみる、話し合ってみる。それが夢をかなえる第一歩。夢のことを聞きつけて、夢を応援する人が出てくる」。これは実体験に基づく持論であり、たとえば夢ケーキのキッチンカーもクラウドファンディングという形で公にしたことで、多くの人たちが出資という形で応援してくれた。
そして、もうひとつ庄司氏の大きな夢が実現しようとしている。今年12月オープン予定の新店舗である。高畠町内に約3600平方メートルの敷地を取得し、屋久杉など木材をふんだんに使った平屋建ての店舗を建設中だ。厨房やカフェのほか、子どもを持つ社員らのための保育室も併設する。
新店舗建設の夢を抱いたのは4年前。庄司氏は、オーストリア・ウィーンの老舗菓子店で修業した横溝春雄氏がオーナーシェフをつとめる「ウィーン菓子工房リリエンベルグ」(神奈川県川崎市)を社員と一緒に見学した。メルヘンの世界を彷彿とさせる店の様子を目の当たりにし、「いつかこんなお店を持ちたい」との思いを強く抱いたという。ただ、当時はまだ店舗改装時の借金を返済中(現在は完了)。さらにコロナ禍にも見舞われ、新店舗の夢は厳しいかと思われた。しかし、庄司氏は機会あるごとに新店舗の夢を口にした。やがて「建設地にいい土地がある」などと応援する人たちが徐々に現れ、「だんだんやれる気になっていった」(庄司氏)という。費用も当初は7000万円を見込んでいたが、話が進むうちに計画が広がり、結局1億円を超える規模となった。
創業から100年の節目の年に新店舗は完成する。それでも敷地にはまだまだ余裕がある。「この先10年、15年かけて、ガーデンウェディングやイベント会場なども整備したい。ケーキを買い求めるだけでなく、地域の人たちが自由に出入りするような集いの場所にしていきたい」と庄司氏は話している。