今後10年の間に約245万人の中小企業経営者が70歳を超えますが、このうち半数にあたる約127万人が後継者を決めていません。経営者の子息に交代できればいいのですが、家族観の変化で、父親の事業を長男が継ぐのがあたりまえではなくなっています。子供には自分の人生設計があるし、父親も大変な事業を息子に継がせたくないと思っています。統計をみると、企業の廃業数は倒産の3倍ですが、廃業する企業の半分が黒字です。優良企業なのに後継者がいなくてやめてしまうのです。
廃業は1社だけの問題にとどまりません。バリューチェーン(価値を提供する流れ)で見ると、ひとつの企業が廃業すると関連企業の経営が危うくなります。廃業で雇用が失われると地域の市場も失われてしまいます。過疎化が進み、地方創生とは間逆の方向になってしまう。何もしないでいると中小企業の廃業が急増し2025年までに約650万人の雇用と約22兆円のGDP(国内総生産)が消失する恐れがあります。経営者が80歳になってからでは遅い。早めに手当てをしないといけません。中小企業の事業承継・引継ぎは日本経済にとって待ったなしの課題です。