当初は売り上げの一部を寄付する形で貧困問題の解決に協力していたが、アマゾンでの驚異的な販売実績を受けて、バングラデシュでの雇用支援にも乗り出した。具体的には、新たに現地の工房と提携し、そこで経済的に苦しいシングルマザーを雇ってもらうこととした。同国では女性の社会的地位が低く、仕事にも就きにくい。結婚して子どもを持ったあとに夫が病気などで若くして亡くなると経済的に立ち行かなくなるケースが多いという。松尾氏が衝撃を受けたストリートチルドレンの多さは、こうしたことも背景となっている。
自身も父親が50代で亡くなり、その後は母親が手に職をつけ働くことで家計を支えていたという経験から「女性が長く社会で活躍できるよう職を持ち、差別化できる技術を高めることは大事」と松尾氏。シングルマザーの経済的自立に向け、工房での雇用を積極的に進め、当初は10人ほどだった女性の従業員が現在は400人となり、工房の労働者の60%を占めている。バングラデシュの平均月収より25%多い月給から始まり、仕事の成果によって昇給する女性もいるという。
さらに支援の対象を障害者にも広げた。「バングラデシュでは日本ほどには社会保障制度が整備されていない。私たちのビジネスで障害者を助けられないか」と考えた松尾氏は2018年、製品の検品作業で現地企業と提携。そこでは耳が聞こえなくても作業に支障がないとして聾啞者を積極的に雇用している。
同様の活動は国内でも。製品の在庫管理や顧客対応をアウトソーシングで対応しており、現在はシングルマザーを中心に数十人の女性スタッフに業務委託を行っている。「日本でもシングルマザーやその子どもたちの貧困が深刻な問題になっている。子育ての合間のまとまった時間で仕事をしてもらい、私たちのビジネスが問題解決の一助になればうれしい」と松尾氏は話す。このようにRaffaelloは、寄付と同時に、国内外でシングルマザーや障害者の雇用を促進することでSDGs達成に貢献している。
なお、Raffaelloは当初、別法人で運営していたが、2018年10月に製品の販売会社としてFrankPRを設立し、翌年には同社に業務を一本化した。