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河川や水路にマイクロ水力発電装置を設置し、災害時の電源を確保【株式会社マルヒ】

2020年 3月 24日

持ち運び可能な非常用発電システム「EPGS」
マイクロ水力発電装置(左)が発電した電力が、蓄電システム(右)に充電される。
製品名=持ち運び可能な非常用発電システム「EPGS」

小水力で発電した電力を蓄電池に充電できる

大規模災害などによる停電が発生したとき、株式会社マルヒが開発した持ち運び可能な非常用発電システム「EPGS」(Emergency Power Generation System)を備えておくと安心だ。同製品のマイクロ水力発電機を近隣の河川や水路に設置すれば、発電した電力が蓄電システムに充電される仕組み。その電力は、AC100V /55Hz(疑似正弦波)、最大100W出力の製品に使用できるほか、USBポートからスマートフォンやタブレット端末 数台程度を充電することもできる。

地形をあまり変えずに設置でき、使用水量も少ないため、環境への影響が小さいこともメリットの一つ。また、オプションで太陽光パネルを設置することも可能だ。

軽量化を図り、専用のケースで持ち運びが可能

マイクロ水力発電機の仕様は、定格出力20W(MAX30W)、定格電圧DC25V、定格回転数は200rpm、重量5kgと軽量化されている。リチウムイオンバッテリーを使用した蓄電システムの容量は15Ahで、オプションで増設も可能。USBポート、DC12Vジャックをそれぞれ1口備えた蓄電装置は5.2kgとなり、専用のケースに入れて持ち運ぶこともできる。

導入の際には、設置する河川や水路ごとに異なる水量や落差に対応する必要があり、現場ごとに設計を行うため、現在も研究開発に取り組んでいる

水を利用する企業、防災製品を取り扱う企業との共創

水力発電は、FIT(固定価格買取制度)や二酸化炭素削減効果、自然エネルギーの有効利用などさまざまな側面から今注目を集めているほか、SDGsのゴール7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に向けた取り組みとしての期待も高まっている。そのようななか、同社は水を利用する企業や、防災用品等を取り扱う企業との共創もいずれ検討したいと考えている。

地震や台風など大規模自然災害が頻発する日本で事業を安定的に行っていくためには、有事を想定した対策はあらゆる企業に不可欠。事業の持続可能性を追求する企業にとって、同製品は有望な選択肢の一つになり得るだろう。

取材日:2020年1月20日

企業データ

企業名
株式会社マルヒ

1968年長野県飯田市でインストルメントモータの組み立てを事業の柱として創業。ACサーボモータ・ステップモータ・DCモータ・リニアモータ・バイオ装置の部品加工から組み立てまでを一貫して生産。また航空機器・ポンプ・アクチュエータの組み立て、モータ、レゾルバの巻線を自動で行う巻線機の製造を行うとともに、各種省力化機器や小水力発電機の開発・製造・販売を行う。