まず、最新鋭の工作機械など生産設備を積極的に導入し、CAD/CAM(コンピューターによる設計・生産)に取り組むなど、技術の獲得に力を注いだ。2009年には航空・宇宙分野の部品製造に求められる品質規格であるJIS Q 9100の認証を取得し、航空機の部品加工にも参入した。顧客の難しい要求に応えるために、切削工具を自作するなど、常に新技術・新分野への挑戦を続けた。
同時に販路開拓として、展示会に出展し新規顧客の開拓に努めた。今では金属加工企業が、自社の技術を展示会でアピールする姿も珍しくないが、東京・晴海に展示会場があった時代から、そうした活動をしていた企業は少なく、多くの取引先を獲得することができたという。インターネットが普及すると、ソリューションサイトを開設して、顧客の抱えている課題を解決する、さまざまな手法を紹介した。そのほかにも、メールマガジンの送付やテレホンアポイント営業など、プル型・プッシュ型の多様な営業活動を駆使した。こうした地道な活動が、取引先900社という実績を生んだ。
同社が製造する金属部品は、チタン合金のインプラントや内視鏡などの医療機器関連、航空機のエンジンや降着装置、半導体製造装置など、さまざまな業種で使われている。半導体関連のように変動の大きなものや、医療関連のような毎年安定した需要のあるものなど、特定の業種に偏らない取引が、結果として経営を安定させることに結び付いている。末武和典社長は「コロナ禍の最中も医療機器関連がけん引し、売上の減少幅を小さくしてくれた」と説明する。