岡田研磨に入社すると、岡田氏はデジタル化が遅れた現場を目の当たりにした。あらゆるものが紙で管理され、業務の無駄が目についた。入社して半年足らずで改革に動き出した。まずは5台のタブレット端末を試験的に導入。「『図面をタブレット端末でみられたら便利だよね』というところからスタートした」という。しかし、ベテラン従業員の中から「紙のほうが見やすい」という声があがったり、タブレット端末が使われないまま工場に放置されたりとなかなか浸透しなかった。
「どうやったら使ってもらえるか」。頭を悩ませた岡田氏。「使っても使わなくてもいいシステムだったら、使いたい人以外は使わない。それなら、絶対に使わなくてはいけない業務からシステム化しよう」という考えに行き着いた。そこで最初に着手したのが、検査成績書のシステム化だった。
検査成績書は製造した製品の検査の結果を記入する書類。約60人いる現場従業員全員が毎日5、6枚は記入する。書類は一定期間まとめて箱で保管するが、取引先からの問い合わせなどで調べる必要が出てくると、探し出すのに相当な時間と人手をかけていたという。「全員が毎日必ず行う業務なので、毎日タブレットに触れることになる。この業務を通じてタブレットに慣れるきっかけになればいいと考えた」。
システム導入のタイミングに合わせ、従業員1人に1台のタブレット端末を配布。アプリを導入し、データをタブレットに直接入力する仕組みを取り入れた。入力は簡単になり、工場から紙が消えた。反発していた従業員たちにもデジタル化のメリットが理解され、手慣れたようにタブレットを扱うようになった。図面のデジタル化も実行すると、便利に利用するようになった。
「管理側の都合ではなく、『現場を楽にする』というところをポイントに進めたことでデジタル化がうまく浸透した」と岡田氏。さらにチャットアプリも導入。従業員同士のコミュニケーションも簡単になり、業務が飛躍的に効率化された。「ちょうどコロナ禍に入った時期で、ウェブ会議などが当たり前になった。世の中のトレンドもデジタル化に進んでいたこともあり、浸透を後押ししてくれた」という。