高い評価を獲得し、それを継続できるのは、社員の努力の賜物であることは間違いない。同社の営業にはノルマがない。小澤社長は「ノルマがあると価格競争に巻き込まれ安値で受注しようと思うようになる。それでは社員のモチベーションは上がらない」と言う。自分の会社の仕事にプライドを持ち、「『他社のどこにも負けない安全安心を提供します。ただし、価格は適正価格で』と堂々と説明して、受注できた方が、社員の意欲は高まる」と言うのだ。
実際に電気工事を担当する技術者・作業員の育成方法もユニークだ。同社は営業担当者が仕事を受注すると、その工事内容を社内で告知してやりたい人に手を挙げてもらう手法『申し出制』を採っている。手を挙げた者は、なぜその仕事を自分がやりたいのかをレポート用紙に書いて提出する。会社がその内容を読んで、担当者を決めるのだという。小澤社長は「こちらからやらせるより、自分がやりたいという思いの強い人にやってもらう方がいい仕事をお客様に提供できる。経験不足だと思う者には、補佐する者をつけてやらせてみる。そして、仕上がりを確認する竣工検査には、社長が必ず行って確認し、ダメならやり直しをさせ、良い仕上がりなら報奨金を出して評価するようにしている」。任せてみて、その結果をしっかりと評価するという仕組みが、同社の高い技術力を維持することにつながっている。
社内の技術研修会において常に言うのは、「技術があっても人間力がないとだめ。リーダーに必要な資質は相手に感謝する心だ。相手に寄り添えることができるのが本当のリーダーだ」と伝えている。そして、「本気で仕事をやっていたら、何も言わなくても誰かが助けてくれる。誰かが必ず見ていてくれる」。その代わりに人と同じことをやっていたら、誰も助けてくれない。お客さまから仕事はもらえない。10人でやることを5人でやれるように技術を上げるにはどうすればいいのか、常に考え努力することを社員にも求めている。
人間力を重視するという考え方は採用面においても徹底されている。新卒採用、中途採用のあらゆる採用時に、入社最終試験として「お母さんの足を洗って」をテーマにした感想文を原稿用紙2枚以上に書いて提出してもらうのだという。会社も社員も、その周りに支えてくれている人がたくさんいるから成り立っているということを改めて考えてもらいたいという思いからだ。小澤社長は「当社のやり方は大家族主義的で、今時の経営には合わないと言われることもある。新卒採用時にびっくりされることもある。しかし、必要なことだと信じてやり続けている」。