むなかたアートコレクション(略称・むなこれ)は、福岡県宗像市を中心に福津市など近隣市町の事業所で構成する任意団体で、現在、工芸品や食料品など34事業所が参加している。商工会や行政などからの支援は一切受けておらず、催事の手数料で運営している。百貨店や地元自治体のイベントなどで声をかけてもらい、都合があえばできる限り出店して参加事業所の商品を対面販売してきた。
発足は2014年。当社(粋工房)がかねてから取引のある岩田屋本店(福岡市中央区)より「宗像市内の工房をいくつか集めて工芸関係のイベントができないだろうか」と打診されたのが始まりだった。参加者を集めていくうちに話はどんどんと大きくなり、「大きな催事スペースを確保するから食品も含めてできないか」という流れになった。しかし、ガラス工芸品を扱う当社は、市内の食品事業所との繋がりがあまり多くなく、出店者集めに苦労した。そこで、私(伊藤幹生社長)の長男の先輩にあたるマルヨシ醤油の吉村一彦専務に協力してもらうことにした。おかげで食品関係の出店者も集まり、約20事業所で岩田屋のイベントに臨んだ。むなかたアートコレクションという名称は、そのイベントのために付けたものだった。
イベント自体は、岩田屋の担当バイヤーが驚くほどの盛況で、参加した事業所も大変喜んでいた。すると、「むなこれを一度きりの集まりにするのはもったいない」という意見が出て、その後、会として発足することとなった。それまでの経緯から当社が事務局となり、私が会長、吉村専務が副会長を務めている。
岩田屋でのイベントはとてもいい宣伝となったようで、その後、北九州市内の百貨店などから声がかかってきた。また、玄界灘の「神宿る島」沖ノ島(宗像市)が2017年に世界文化遺産に登録された際には、市のイベントに呼ばれることが多かった。むなこれとして窓口が一本化されているので、イベント主催者側にしてみれば、事業所ごとに打診する手間が省け、声をかけやすいのだろう。多い時は2カ月に1回のペースでイベントに出店していた。
新型コロナウイルス感染症の影響でイベントが軒並みなくなり、出店が皆無となった。もちろん各事業所は、むなこれのイベントだけで生計を立てているわけではないが、イベントがなくなると、それに合わせて実店舗での売り上げも落ち込んできた。参加事業所の中には店を畳むところもあり、「このままでは、コロナ禍が明けてイベントができる状態に戻る前に、むなこれの参加事業所は全滅してしまうのでは」と危惧されるほどだった。