LBTの開発から実用化には約20数余年の歳月を要した。同社の松本順社長が大手自動車部品メーカーの技術者時代に開発に取り組み、特許の出願・登録も行っていた。松本社長が大手自動車部品メーカーを定年退職した後に、この特許の実施権を得て事業化させることになり、2018年にアイエルテクノロジーを創立した。松本社長は「60歳からの起業だったが、好きな仕事だからやろうと決意した」と当時を振り返る。開業資金は日本政策金融公庫の創業融資を受けて事業をスタートさせた。
ワイヤボンディングは、パワー半導体や機能半導体製造の後工程で行うもので、検査装置は製造ラインごとに1台程度必要になる。事業開始時から、大手半導体メーカーから引き合いが相次ぐなど、順調な出だしだったが、課題は自社の生産体制が需要に追い付かないことだった。当初はLBT1台を生産するのに、6か月が必要だった。半導体はメーカーごとに実装方法などの作り方が異なる。検査装置もそれにあわせてカスタマイズするため、どうしても時間がかかってしまうのだ。松本社長は「無理な受注をして、お客様に迷惑をかけたくない」と、取引をあえて絞っており、当面は国内半導体メーカー向けの仕事に専念する考え。ただ、今後は人材を確保して事業を拡大させる計画も立案しており、将来的には海外の半導体メーカー向けに供給できる規模にまで拡大させていく。
創業間もない企業ながら、こうした強気の戦略が立てられるのは、他にないオンリーワンの技術を持ち、それを特許で守ることができているからだ。装置価格は最も安価なものでも1台2000万円以上するが、それでも採用したい客は多数いるという。