創業メンバーの1人で、2018年3月に児玉氏の後を引き継いだ深井淳社長は「特別休暇はすべて社員の要望があって初めて導入した」と振り返る。創業当初は社員全員が20~30歳代で独身者がほとんど。しかし社歴を重ねるにつれて、社員が結婚、出産、育児、介護などさまざまなライフステージに直面し、その都度、制度を設計して運用していった。
例えば、勤続5年で半年間、同10年で1年間という長期休暇が取得できる「リフレッシュ休暇」。ある社員がワーキングホリデー制度を使って豪州で働くため「会社を辞めたい」と言ってきたことが導入のきっかけだ。休暇中は無給だが、これまでに4人が利用し、米国に語学留学した人や趣味の靴作りに没頭した人もいたという。
社員に対してさまざまな休暇制度を用意する一方で、働く時は一生懸命働くことを要求する。深井社長は「基本的に勤務時間でお金は支払わない。できるだけ残業をせず短時間で成果物を出しましょうというのがコンセプト」と語る。そのベースとして仕事の成果を明確化する「個人売上目標制度」を取り入れた。
具体的には、賞与を除いた自分の年収の1.8倍が売り上げ目標だ。目標を超えれば、超えた金額の30%が賞与として支給される。「昔は10カ月分の賞与を稼いだ猛者もいたが、今は多い人で5~6カ月、少ない人で1.5カ月分」という。新入社員については、入社1年目が1.3倍、2年目は約1.5倍と売り上げ目標を低くしている。
社員はシステムエンジニア(SE)が大半で、受注した仕事をタスクごとに作業分担する。年間の売り上げ目標や休暇取得計画は面談で決め、プロジェクトリーダーやマネージャーが社員個々のスキルや休暇予定を勘案して仕事を割り振る。個人が自分の生活設計に基づき、仕事と休暇の予定を立てる自立したビジネスマンになってもらいたいからだ。
この方針を徹底するため、5種類の中から自分に合った「働き方」を選べる制度も用意。Aは「仕事を思いっきりしたい働き方」、Bは残業が月20~30時間程度の「普通の働き方」、Cは「残業ゼロ」、Dは「勤務日を選べる働き方」、Eは「個人事業主のような出来高制」といった具合だ。「創業当初はAばかりだったが、今はBが最も多い」と深井社長は話す。