『Pサポ』を導入する企業が増え続け、軌道に乗り始めたヴァンガードスミス。ここで田中氏は、社員を守りたいという動機で『Pサポ』を利用する企業が多いことに気づいた。近隣トラブルの当事者たちは感情が高ぶっていて、その気持ちを管理会社の社員にぶつけてくる。ただでさえ業務外であるのに、延々と強い感情をぶつけられ、メンタルが疲弊してしまう社員は少なくないのだという。対応に当たった社員が休職や退職することが頻発し、管理会社にとって深刻な悩みとなっていた。
そこで新たに誕生したのが、『Pサポ+for Business』。近隣トラブルだけでなく、カスタマーハラスメントに特化した法人向けサービスだ。ここでも『Pサポ』で培ったノウハウ、すなわちエキサイトしている相手の感情を根気よくそぎ落としていく手法が有効。いわば苦情係のアウトソーシングで、対応する社員の時間やメンタルを守るのに大きな助けとなることは間違いないと考えた。
ただし、カスハラ対応の場合は近隣トラブルと違い、企業側の過失や説明不足が発端となって発展することが多く、一方通行で文句を言われ続けることになる。その場合、逆に相談員たちのメンタルがボロボロになってしまうが、これは警察官時代の対応にも似ているのだという。「警察官って、民間人に手を挙げることが許されないので」と、どんなに激高する相手に対しても強い対応をすることができない。ただ、警察官時代と違うのは、問題を解決するごとに感謝されることだった。これは相談員たちにとって大きなやりがいとなっている。
また、もともと警察官とは「人の助けになりたい」という信念をもってなる人が多いものだが、同社に入社する元警察官も、仕事に対する使命感は田中氏と負けず劣らず。志を同じくする者としての一体感もあり、くじけずに乗り越えていけるという。
業務にあたる相談員たちを見守りつつ、田中氏が最も気にしているのは「相談者にしっかりと寄り添えているか」。官から民へと場所を移しても、初志を忘れないでいることが仕事の支えとなっている。