技術力、製品開発力の向上に意欲
長期雇用制度の確立で技能伝承が円滑に
ノギスのヘッド部を工夫
「同業他社と同じようでは生き残れない」。岡村清治社長が口癖とするように同社はユーザーニーズの先を行く製品づくりを心がけている。ノギスを例にすると、従来品はヘッド部が出っ張っていたため「クチバシ」と呼ばれる部分で内側測定する際に複雑な形状、狭い場所の高さや内側を測定しにくかった。そこでヘッド部を平たんにした製品「ピタノギス」を考案。測定が困難だった部分の計測が可能となり、ユーザーの支持が集まったことで自社製品の主力になりつつある。
また、このほど無線で測定値をパソコンなどに送信できる機能を搭載した新型ノギスを開発した。従来、現場では測定ごとに書類にデ—タを転記していたが、この場合、デ—タの記載ミスや転記ミスを起こす可能性がある。また、平均値・標準偏差などを求める場合には計算する手間も生じていた。この新型ノギスはパソコンやタブレットに付属のUSB型受信機を接続し、ノギスの送信ボタンを一押しするだけでデータの取り込みを行うことが可能となった。専用ソフトではデ—タの集計や平均値・標準偏差などの計算も簡単に行えるため、品質管理の省力化および測定時間の短縮に寄与する。
無線で測定値を送信できる新型ノギス
社員教育に展示会活用
このようなオンリーワン製品を生み出すには技術力と製品開発力が不可欠。そこで有識者を顧問として招き、技術的なアドバイスを得ると共に、有名大学と連携し、人材育成にも力を入れている。また、社員教育の一環として、日本国際工作機械見本市(JIMTOF)など国内で大規模な展示会が開催される際には大型バスを借りて全社員約80人で研修を行っている。製品開発のアイデアを考える上で、社員に自社製品以外の最先端工業製品に触れる機会を設けることが役立っている。
雇用面では独特の取り決めがある。同社は山梨県都留市に工場があり、全社員の約8割が工場関係者とあって地元地域とのつながりも深い。それだけに長く働いてもらうため60歳で定年を迎えても65歳まで嘱託、70歳までアルバイトとして会社に残ることができる。「ずっと会社にいられる」という安心感もあって、ベテラン社員が若手に自分の技能をごく自然に教えるといった社風も生まれた。
これまで「カノン」ブランドの製品は多くのモノづくり企業から支持を集めてきた。今後はノギスやトルクレンチで培った技術などを生かし、短時間でボルトの締結の分析や解析ができるトルク測定表示器といった関連製品も増やしていく方針だ。ユーザー本位の他社が追随できない製品開発にこだわる一方、宣伝・販売にも力を入れ、3年後の創業80周年に向けて精密測定機器でのブランド地位を強固にしたい考えだ。