中間業務の受託自治体が県内外で広がり、事業が拡大するなか、大津屋氏が手掛けたのは、寄附者の希望の品や寄附額などに応じて返礼品を提案するコンシェルジュサービスだった。「当時、一部のふるさと納税ポータルサイトで富裕層向けにサービスがあったが、すべての寄附者が無料で利用できるものを提供したい」として、2022年に公開されたAI、ChatGPTを活用することに。大手食品メーカーでAIの研究を進め、2023年2月に起業したAI関連のスタートアップベンチャー企業とともに開発に取り掛かり、同年9月、「AIふるさと納税コンシェルジュ(β版)」をリリースした。ウェブでもLINEでも利用でき、予算(寄附額)やジャンル(肉、フルーツ、米など)、都道府県を伝えると、AIが条件にあった返礼品を提案してくれる。
「ポータルサイトに返礼品があふれるなか、何を選べばいいのか分からず、結局、去年と同じものを選んでしまったというケースも多い。このサービスで手軽に返礼品を探すことができる。オペレーターの代わりにAIが対応するのでコストもかからない」と大津屋氏は話す。コンシェルジュに続き、2023年12月には前述のAI関連のスタートアップベンチャー企業と共同でウェブマガジン「ふるさとタイムズ」を創刊。自治体別にマガジン編集部が厳選したオススメの返礼品の紹介などを行っている。
このほかにも、ふるさと納税の支援事業として、食品返礼品の品質保証サービス「Custos(クストス)」を2024年8月にスタート。返礼品の産地偽装など各種の問題が発生するなか、食品の製造・小売を手掛ける大津屋のノウハウを活かし、食品返礼品の品質管理や法令順守などを監査するサービスだ。サービス名はラテン語で「守護者」「監視者」を意味し、「産地偽装や食中毒などの不祥事で自治体や産品のイメージが毀損されないよう、しっかりと見守りたい」(大津屋氏)という。