改革の先頭にたったのが新井氏。過去に自動車メーカーに勤務していた経験を活かし、改革のデザインを描いた。県や金融機関などが開催するIoTの勉強会を巡り回った。そして工場のQCDを上げるのに何が阻害要因になっているのか、徹底的な洗い出しを行った。
「少量多品種の部品を扱っているため、装置の組み替えが頻繁に行われる。組み替え中、機械が稼働できない。工場内の情報が紙で管理されていて、データ分析力も弱かった」と新井氏は振り返る。雇用の逼迫も阻害要因の一つとして持ち上がった。
「QCDの別次元への引き上げ」を目指して策定したのが「IoT 5カ年計画」だ。「現場情報の電子化」「稼働状況の見える化」「第三工場のスマートファクトリー化」という3つの改革の柱を立てた。
これまで丸秀では、機械のセッティングなどの生産現場の作業情報はすべて紙でやりとりされていた。1日3000種類もの部品を製造するため、1つの製造装置で金型を何度も交換する。作業手順をまとめた紙を管理しているファイルから取り出し、その紙を製造装置のある場所に持っていって作業する。製造した部品の検査工程もすべて紙に記録をしていた。
そこで取り組んだのが現場情報の電子化だ。紙の資料をすべてデータ化し、それを機械のそばにあるモニターで確認できるようにした。作業がすばやくできるよう注意点などの画像も添えられた。製品検査に使用する計測器はすべてネットワークに接続した。部品を計測器にセッティングし、得られた検査データは、ボタンを押すと社内のサーバーに蓄積される。検査台にはカメラを設置。不具合部分がみつかると、すぐにカメラで撮影する。
「これまで検査の結果を手書きで記入していたが、工数が多く、誤記入もあった。データを統計的に処理しようとすると、表計算ソフトに再入力してグラフ化する。非常に工数がかかったが、大幅な省力化が実現できた」と新井取締役は話す。
さらに計測器だけでなく、プレス機などの製造機器もすべてネットワークに接続し、製造装置の稼働状況をリアルタイムで電子データとして蓄積する。いつ、誰が、どれくらいの時間で、どんな作業をして、どれだけの部品を製造したという作業履歴も電子データで記録できるようにした。