コロナ禍でがんばる中小企業

かき氷に続け、ウイルス不活性化に有効な柿の葉関連商品【合同会社ほうせき箱】(奈良県奈良市)

2021年 3月 11日

奈良いちごミルクかき氷
奈良いちごミルクかき氷

1.コロナでどのような影響を受けましたか

店舗前の共同代表(左が岡田氏、右が平井氏)
店舗前の共同代表(左が岡田氏、右が平井氏)

2015年2月に合同会社を設立し、奈良市内のカフェ「kakigoriほうせき箱」)でかき氷の提供や物品販売をしている。奈良の方言で「ほうせき」は「おやつ」の意味。お客様のきらきらした笑顔が輝く場所にしたいと名付けた。

売り物は「エスプーマ(ESPUMA)かき氷」だ。エスプーマとは炭酸ガスや亜酸化窒素で食材をムースのような泡状にするスペイン生まれの調理法で、フワフワに削ったかき氷の上に搾りたてのミルクや大和茶など地元産の食材で調理した泡をトッピングする。クリーム系と異なる軽い食感で、インパクトある見た目とやさしい味が両立できる。

バレンタインやクリスマスなど年間イベントに合わせ、季節の食材を豊富に盛り込んだメニューを1~2週間ごとに開発し、1000円から1300円で提供。行列ができるため、開店前の午前7時から入店整理券300枚を配布し、コロナ前は年間7万食、約7900万円を売り上げていた。

かき氷の他、奈良県内の耕作放棄地を借りて柿葉を生産し、お茶や入浴剤など関連商品の開発販売する事業にも着手。昨年6月に柿の葉専門店「sousuke」という屋号で新規出店も予定していた。

ところが、コロナ緊急事態宣言で昨年4月の売り上げは前年比8割減。宣言解除後の5月、6月も同3割減、7月8月の夏場でも1割減となった。柿の葉専門店も今後の状況が読めず出店を断念した。

2.どのような対策を講じましたか

柿の葉茶も人気
柿の葉茶も人気

まず36席ある店舗の席数を30に減らし、昨年4月は後半から営業時間を短縮した。あわせて自社のネットショップを拡充し、シロップや柿の葉商品、かき氷グッズなどの販売を強化した。さらに人との接触や密回避のため、昨年5月から開店前の整理券配布を止め、ネットでの予約制にした。

すると、並ばないと食べられないと思っていたお客様がネット予約で来店してくださった。密を作ることなくスムーズにご案内できるようになったため、集客につながり、売上も上向いた。

柿の葉専門店「sousuke」新規出店のために準備していた新商品やメニューを活かして、「ほうせき箱」が閉店する午後6時から8時まで2時間だけ間借りで「sousuke」を営業し、柿の葉を使ったかき氷を週替わりで提供することも始めた。新しいコンセプトと夕方以降の営業が受けてか毎週満席状態で売上アップに貢献している。

3.今後はどのように展開していく予定ですか

今年4月発売予定のマウススプレー
今年4月発売予定のマウススプレー

引き続き、できる限りの感染症対策をして営業を続けるが、同時にコロナの関係でカフェ営業が万一できなくなった時に備え、物販やネット販売を強化する方針だ。

複数の大学が柿渋(カキタンニン)がコロナウイルスの不活性化に有効だという研究結果を発表している。これに着目し柿渋と柿の葉を使った商品開発に力を入れる。柿の葉茶、柿の手作り飴、入浴剤やウイルス対策につながるマウススプレーの販売も準備中だ。第1弾として柿の葉と柿渋を使った飴を販売中だが。販売数は順調に伸びている。昨年12月末には医薬品卸の東邦薬品グループと契約し、店舗とオンラインで全国販売も始まった。柿の葉を地域の特産物に育てたいと考えている。

企業データ

企業名
合同会社ほうせき箱
Webサイト
設立
2015年2月
代表者
岡田桂子氏、平井宗助氏(共同代表)
所在地
奈良県奈良市餅飯殿町47
Tel
090-2119-0810

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