コロナ禍でがんばる中小企業

既存ツールをコロナソリューションに転換【エコモット株式会社】(札幌市中央区)

2021年 2月 22日

サーモカメラ
サーモカメラ

1.コロナでどのような影響を受けましたか

アイテル
アイテル

当社は、IoTを活用したソリューションサービスを提供している。IoTは、Internet of Thingsの略。「モノのインターネット化」と訳される。「あらゆるモノ」をインターネットに接続してデータを収集することで「現状の見える化」を実現する技術だ。

このIoTで収集し、クラウド上で蓄積した情報を統計解析、AIなどの分析手法を用いて知識に変え提供することで、顧客の抱える異常監視、残量確認、環境測定、位置情報管理などの課題を高速かつ効率的に解決している。

だが、新型コロナの影響で、主力事業である「交通事故削減ソリューション~Pdrive~」および「顧客ニーズに合わせたIoT導入支援~FASTIO~」の売り上げは、前年同期比で約2割減少した。

当社は北海道札幌市に本社を構えているが、顧客の多くは道外にいる。常態化していた出張訪問営業が、外出自粛要請で停滞したことが大きく影響した。

顧客の活動も鈍化した。顧客と一体的に進めていたプロジェクトが、顧客の事情で延期や中止になったこともあった。

2.どのような対策を講じましたか

アイテルのカメラ
アイテルのカメラ

案件や売り上げの減少幅拡大が懸念される中、思考をすぐに切り替えて、感染症対策ソリューションの開発に注力した。成功例の中でも、筆頭に挙げたいのは「サーモカメラソリューション」シリーズだ。

初弾は、「MET-EYE(メットアイ)for 体温計測」と銘打ったウェアラブルサーモグラフィーカメラ。昨年3月に提供を開始した。建設情報化施工支援ソリューションとして開発したMET-EYE(専用通信機とヘルメット装着型カメラのセット)を、サーモカメラソリューションに転換したものだ。

次弾は、AI顔認証技術によって最大16人を同時に計測できる「サーモロイドPro」。業種を問わず引き合いが相次ぎ、多くの導入実績を残すことが出来た。

「サーモカメラソリューション」シリーズとは別に、「空席状況確認サービス~アイテル~」も好評を得た。飲食店の空席の有無をLINEで可視化するツールの利用目的を、店舗の混雑状況の可視化に切り替えたものだ。入店時の3密回避支援サービスとして提供した。

利用目的を変えたことにより、飲食店だけでなく、スポーツジムやホテル、コワーキングスペースなど幅広いジャンルの施設が導入した。

札幌市と、さっぽろ産業振興財団は、令和2年度のIT利活用促進事業補助金を新型コロナウイルス感染拡大防止事業として執行した。市内IT企業が提供する新型コロナ対策のITツールを導入する企業や店舗を支援する仕組みだ。このITツールに「アイテル」が採択されたことが追い風になった。

独自にオンラインショップも開設し、感染症対策ソリューションの販売を始めた。これまでのB to Bのみの業態から、D to C(事業者によるネット直販)の業態に拡大できたことは、大きな自助となった。

これらの対策を講じた結果、前年同期比で2割減少していた部分を埋めることができた。2020年8月期決算は、微増で着地した。

3.今後はどのように展開していく予定ですか

オンラインショップ
オンラインショップ

「アイテル」の販促を強化する。外出先での感染不安を少しでも緩和できるよう、飲食店に限らず混雑する恐れのある施設などに訴求する。さらには宣言解除後の集客につながるよう、クーポン発行や店舗限定のLINEアカウントとの連携機能を追加していく。

3密対策は、混雑回避にとどめない。CO2濃度や温湿度などを計測して空気の状態の可視化ができるサービスをオンラインショップで販売し、利用客らの安心安全につなげたい。

5G(第5世代移動通信システム)でも商機をつかみたい。本格的な普及に向けて、鮮明な映像、多拠点での一括監視などのニーズが高まると考えられている。

こうしたニーズに対応するため開発を進めているデータ基盤に、すでに開発・提供しているサーモカメラソリューションを搭載してアップグレードした、新たな「サーモカメラソリューション」を展開していく。

新型コロナの影響で、社会・経済のデジタル化が加速していくのは目に見えている。この時流に乗って、IoTをワンストップで提供出来る当社の強みを活かし、北海道発のIoTソリューションを広めていく。

Afterコロナを待ち望むことなく、Withコロナの世の中をスタンダードと捉え、インフルエンザを含む感染症対策×IoTを事業化して推進していきたい。

企業データ

企業名
エコモット株式会社
Webサイト
設立
2007年2月19日
代表者
入澤拓也 氏
所在地
北海道札幌市中央区北1条東2丁目5-2札幌泉第1ビル1階
Tel
011-558-6600

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