健太朗氏は、入店早々業績回復に努めている。15年には小型トラックで集落を巡り、預かった道具を修理して1週間後に返しに行く「移動鍛冶屋」を始めた。初代が馬車で営んでいた商売を100年以上経った今、曾孫が自動車で再現して地域に貢献している形だ。
16年には地元商店街と連携した「出張商店街」に発展。鮮魚店やパン屋などがそれぞれの商品を積んだ“トラック隊”を編成して巡回し、山間部の高齢者ら買い物弱者を支援している。
「出張商店街の利益は限定的だが、定期巡回が需要調査になっている」と効果を解説する。“調査結果”は、独特の曲がりに仕上げた針で身を簡単に取り出せる同店の看板商品「サザエ開け」となって結実した。牡蠣の収穫専用に特殊なはさみも開発し、同種のはさみ市場で約10%のシェアを占めているという。
ネット事業にも注力し、包丁研ぎ宅配サービス「ポチスパ」を考案した。利用者は、ネット注文で届く専用ボックスに包丁を梱包してポストに投函するだけ。送料無料かつ定額できれいに研ぎ、さびを取り、ゆがみも直して約1週間後に送り返す。
このサービスは最初の2カ月間で250軒から800本の依頼が舞い込む好調なスタートを切った。同店は、こうした取り組みから17年度の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれている。