このプロジェクトは、ビジネスの拡大を目指し、地域の中小企業グループが抱える共通課題の解決を支援する中小機構の「地域経済振興支援事業」を活用した取り組みだ。四国本部企業支援部長の中曽根保氏(肩書は取材当時)が、この支援を活用する事業者の掘り起こしをする中で、かんこめの菅氏とめぐりあった。
「以前に中小機構の支援を活用された経験があり、新事業として始めた『玄米おむすび』をヒットさせた経営力を持たれている。事業グループでの取り組みができないか、地域経済振興支援事業を紹介させていただいた」と中曽根氏は語る。
四国の事業者が直面する共通の課題は、人口減少による市場の縮小。約370万人いる四国4県の人口は2040年には300万人を割るという試算がある。今の高知県1県の人口がなくなる計算で、全国的にも早い速度で進んでいる。「人口減少の状況を考えると、外に売る力を持ちたい。それも1社だけでは難しいし、1社がよくても波及効果は薄い。5社くらい集まって取り組もうと考えた」と、菅氏は地域経済振興支援事業の活用を決め、青年会議所の活動などでふだんから付き合いがある経営者4人に声をかけた。プロジェクトは2022年9月に本格スタートした。
中小機構は、大手流通企業の元役員で商品・原材料開発など豊富な経営経験を持つ松原覚アドバイザーを派遣した。「伊予西条“発”食の物語チーム」はアドバイザーがつけた名前だ。「発」には、地域のいいものや自社を「発見」する、もっと掘ればいいものがみつかるという「発掘」、新商品を「開発」する、そして、顧客への「発信」—。そんな意味が込められているという。
アドバイザーのサポートは、単に商品開発や販路開拓にとどまらなかった。プロジェクトのキックオフ会議で、各社にプロジェクトに対する思いを聞き、第2回目の会議では、自社の将来像やどんな企業を目指すのかを聞いた。その間、メンバーの工場を個別に視察。各社の事業規模や生産管理体制などをチェックした。生産管理の改善点など個社の経営への取り組み方にも及んだ。