作成段階で自社の経営の中身を知り、(1)設備投資による業務効率化(2)社員教育(3)新規顧客開拓—という課題を抽出すると、渡辺取締役は「これは絶対にやり遂げないといけない」という強い思いになったという。鈴木指導員のサポートを受けながら、業務の効率化に役立つスポット溶接機を導入するための補助金獲得につなげた。現在はさまざまな補助金を積極的に活用し、業務改善を進めている。「まず何から手をつけたらいいのか、経営にも優先順位をつけられるようになった」と渡辺取締役は経営力向上計画を作成したメリットを指摘していた。
伴走型支援を受けたことで経営の対応力がついた伊藤自動車工業は、自動車業界が直面する新たな制度の見直しにも果敢にチャレンジしている。
自動ブレーキや自動運転など自動車のハイテク化に伴い、先端機器を搭載した自動車を整備するには「自動車特定整備」の認証が必要となった。今後、自動車のハイテク化がさらに進むことは必至で、この認証を持たない自動車整備会社は淘汰されかねない大きな制度の見直しだ。この制度は2024年にスタートする。
認証を受けるため、渡辺取締役自身も整備士の資格を取得。「スキャンツール」と呼ばれる機器も導入し、体制を整えた。スキャンツール導入のための補助金の申請や認証に向けた手続きは自社でできるまで独り立ちできるようになった。
「木更津商工会議所の鈴木さんと一緒に経営力向上計画の策定経験があったから、自分の力で補助金も申請することができるようになった。おそらく一人で考えていたら、今も何も実現できなかったかもしれない。鈴木さんの支援を受けたことで、頭の中が整理でき、会社として取り組まなければいけないことの優先順位がつけられ、背中も後押ししてもらった。あの時、勇気を出して商工会議所に電話して本当に良かった」と渡辺取締役は話している。