北海道の組合との協力関係が新聞記事になると、地元の農家からも「休耕地でウイスキー原材料の穀物を作ることができないか」と問い合わせがあったといい、地元に新しい農業が生まれる兆しも見えてきた。真正ジャパニーズウイスキーは、農業の未来をも照らすのだ。現在は関川村役場の農林課の協力の下、地元の農家で試験的にライ麦の栽培を始めてくれているといい、地元からの期待も厚い。松本社長は「そこまで見越していたわけではないのですが」と、波及効果についほおが緩む。現在吉田電材蒸留所では原材料の70%を国産でまかなうことができているが、残りの30%は外国産に頼っている。地元でのライ麦栽培が軌道に乗れば、いよいよ正真正銘、“すべて国産”のウイスキー製造への道筋ができるのだ。
これに伴い、「ものづくり吉田電材」を生かした取り組みも始めた。というのも、実はライ麦や大麦を輸入に頼らなくてはならないのは、大麦を大麦麦芽に加工して「モルト」にする加工専門会社が日本にはほとんどないことも理由のひとつ。だが、松本社長の目指す”真正ジャパニーズウイスキー”を追求するのなら、これにも対応できるようにしておくべきだ。
この問題に取り組むために、吉田電材工業ではモルティングマシンの開発を始めた。得意の機械製造でオリジナルマシンを作ろうとしているのはさすがものづくりの会社である。
前途は明るい。2020年の2月には、ウイスキー製造への本格参入に動き始めた。