SDGsを経営に取り入れたのは17年春。「国内外の社会課題が整理され、大企業が次々と導入している。必ず世の中の潮流となり、ビジネスチャンスにつながる」と判断した。これまでの取り組みをSDGs の各目標に関連付けるとともに、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として7~8年前に創設した社内の横串組織を全廃し、SDGsを推進するプロジェクトチームを発足させた。
以前に横串組織を設けたのは、「社内異動がほとんどなく組織が硬直化しており、部門横断組織をつくって古い組織を壊したい」と考えたからだ。チーム編成では、やりたい人が事業計画を発案・発表し、他の社員はどのチームに入りたいか希望を出し、社員全員が必ずどこかのチームに入れるようにした。「CSR委員会」「品質保証チーム」「みんなの幸せ向上委員会」などが発足。年1回、活動内容や成果を発表する報告会を開いた。
しかし問題が浮上した。年輩の社員の中には「しょうがないから活動する」と前向きでない人もいた。そこでCSR活動をSDGsに切り替える際、「来るものは拒まず、去るものは追わず」を基本に、入りたくない人は入らなくても良い方針に変えた。結果的に「やらされ感」を抱いていた社員も積極的になり、全社員が参加する体制が整った。
「印刷がしたくてこの会社に入ったのに、SDGs活動に時間がとられる」と不満を漏らす社員もいた。これに対し「待ちの姿勢では印刷は受注できない。モノづくりをしたいならコトづくり、印刷をしたいならSDGsに取り組もう」と大川社長は説いた。加えて、プロジェクトチームは「課外活動」ではなく、勤務時間内に行う「本業」と明確に位置づけた。
実際、印刷業は製品による差別化が難しく、価格競争に陥りやすい。このため、例えば「会社案内+α」プロジェクトは、SDGsやCSRの要素を取り入れた会社案内の制作を提案するコンサルティングを行う。若い人ほど社会・環境課題に取り組む企業に好感を持ち、人材採用面で有利になるため、売り上げは着実に伸びているという。