コロナ禍でがんばる中小企業

作りたてのこだわり豆富を宅配【有限会社池田食品】(沖縄県中頭郡 西原町)

2021年 7月 20日

自社のロゴマークを背にする瑞慶覧氏
自社のロゴマークを背にする瑞慶覧氏

1.コロナでどのような影響を受けましたか

昔ながらの「島豆富」
昔ながらの「島豆富」

沖縄県内で島豆富の製造販売をしている。ブランド名は「池田屋」で1983年に父が創業し、兄が継ぎ、いまは3代目の瑞慶覧 宏至(ずけらん ひろし、38歳)が代表を務めている。

島豆富は大豆を水に浸けてふやかし、水を入れてすりつぶした「呉」を生のまま絞ってから煮る。加熱後に絞る本土の豆富より熱に弱いたんぱく質を多く含んでいるので栄養価が高い。当社はこの昔ながらの「生搾り製法」で大豆から豆乳を絞り、地釜でじっくりと炊き上げる。原材料も国産にこだわり、大豆は滋賀県産の「タマホマレ」、塩は塩辛さの中に甘みがあるまろやかな沖縄産、にがりは北谷町の海水淡水化センターの濃縮海水を用い、天然鉱石のフィルターで塩素を除去しイオン水に変化させた水を使っている。

「島豆富」は1丁(500グラム)340円、型に入れる前のふわふわした食感の「ゆし豆富」は1袋(700グラム)290円で、毎月約1700万円を売り上げがある。以前は県内のスーパー向け卸が中心だったが、県内外のメーカーと競合し利幅が薄い。他社との差別化を図るため2014年9月に小型トラックによる移動販売を始めた。

豆富のほか「がんもどき」に「豆乳」、「おからサラダ」をはじめとした総菜や豆富を使ったヘルシースイーツなど50~60品目を積んだトラック8台が沖縄本島中南部の各地域を月曜日から金曜日までを巡回する。いわば現代の「行商」で、「プーピー」というラッパの音色とアナウンスを聞きつけたお客様が手を挙げて合図してくださるので、ご自宅の前に車を着けて直接販売するBtoCビジネスだ。固定客がつきリピータ率は9割にのぼる。

移動販売で新しい販路を開拓していたため、コロナ禍が顕在化しても影響は少なかった。常連のお客様が外出自粛中の新しいお客を教えてくださったりして2020年7月は前年同月比120%の売り上げを確保した。沖縄県が緊急事態を宣言した影響で21年6月は飲食店向けなどBtoBの卸販売が同70%まで落ち込んだものの、移動販売がカバーして全体では同116%の売上増だった。

2.どのような対策を講じましたか

移動販売車で地域内を回る
移動販売車で地域内を回る

移動販売は直接お客様と接するので、トラックごとに除菌スプレーを用意し、マスク着用を呼びかけるなど感染対策には気を使った。

2020年5月には新サービス「SOYまーる」もスタートした。商品を搭載した小型冷蔵庫を利用者の希望場所に設置し、利用者が自由に取って商品の代金を別に設置した料金箱に入れる「おき配」システムだ。当社の商品を買いたいが、移動販売との時間帯が合わなくて購入出来ていないお客様や、大豆加工の惣菜などで時短を図り食事つくりを楽にしたいお客様がいるはずと考えた。

すると非接触で食品が購入できると話題になり、地元紙が取材に来て記事にしてくれた。巣ごもりで健康を気にされている方のなかには大豆加工食品で免疫力を付けたいお客様も多い。県内企業で働く人の生活習慣改善のサポートになればと法人向けに始めたサービスだが、いまは主に在宅の個人客に重宝されている。

3.今後はどのように展開していく予定ですか

笑顔の同社従業員
笑顔の同社従業員

従業員は2021年6月末現在、27人。なかでも移動販売はお客様とのやりとりを通じて仕事に対する社員のモチベーションが上がる業務だ。トラック1台ごとに担当者を一人つけているが、みな「かっこいい豆富屋と思われたい」と奮闘しており、引き続き移動販売に注力したい。

同時に県内スーパー向けのBtoBにも力を入れていく。現在はコープ沖縄9店舗、サンエー11店に「島豆富」と「ゆし豆富」を卸しているが、少しずつ卸業務を拡大して行く計画だ。いまは消費者向け移動販売8に対し、卸販売2の売り上げ比だが。将来は5:5に持っていきたい。

沖縄の食文化を支える「島豆富」の良さを広く知ってもらうために小学校や保育園、幼稚園、介護施設などに出向いて行ってきた「豆富作り体験」などの活動も続けていきたい。各所のイベントはコロナ禍で自粛されていたが、少しずつ戻ってくるだろう。沖縄県の豆富消費量は全国でも上位に位置する。昔から食べられてきた伝統食の「島豆富」を若い世代にも伝えたいと思っている。

企業データ

企業名
有限会社 池田食品
Webサイト
設立
1983年4月1日
代表者
瑞慶覧 宏至 氏
所在地
沖縄県中頭郡西原町字池田184-3
Tel
098-945-0279