ところが、社長に就任して間もなく大きな危機に見舞われた。大型洗車機の一部を大手メーカーのOEMで製造していたが、相手メーカーから「自社で製造するのでOEMは打ち切る」と通告されたのだ。そして、「完成品ではなく、部品は納入してもらってもいい」という話だった。当時、年間10億円ほどの同社の売上高のうちOEM分は2億~3億円を占めていた。
父・正彦氏をはじめ社内では「売り上げがゼロになるよりはいい」として部品の納入を引き受けるべきだとの意見が多かった。これに対して平松氏は「部品だけでは下請けになってしまう」と強く主張した。そもそも同社は「メーカーになりたい」という創業者・正氏の思いから洗車機製造に乗り出したのだ。「下請けになっては意味がない」(平松氏)として社内の反対を押し切って大手メーカーの提案を断った。
OEM分の売り上げを失った同社は、自社製品の開発にそれまで以上の力を注いだ。また、九州を中心に同社の洗車機の販売を手掛けていたダイホウ西日本(福岡市)を2016年にM&Aで子会社化(2021年に統合)。製販一体の企業として営業力を一段と強化した。
2025年には、主力製品である自走式の大型洗車機「ロボ洗」をフルモデルチェンジし、商品名も「ROBOSEN」と改めて販売を始めた。自走式洗車機は、門のような形をした通常の洗車機とは異なり、縦長の大型ブラシ1本で車の側面を洗浄する。無線リモコンで操作する自走式なので設置工事は不要だ。標準洗車時間は全長12mの車両で約9分と大幅な時短を実現。運送業界の人手不足やコスト削減につながるという。これまでも改良を重ねてきたが、今回とくに重視したのはデザイン性で、事務所棟にも用いている赤と黒の2色を基調にしたデザインに一新。年間60~70台の販売を目指す。平松氏は「1本ブラシの洗車機ならヒラマツ、というブランドイメージを広げていきたい」と話している。