社会課題解決企業

暗号化状態でデータ処理を実現「EAGLYS株式会社」

2020年 6月 3日

今林広樹社長
今林広樹社長

EAGLYS(イーグリス)株式会社は、早稲田大学で情報理工・情報通信を専攻し、修士課程を修めた今林広樹氏が、日々のサービスの中で蓄積する個人情報を含むデータの活用に必要不可欠なセキュリティ技術を提供するため、2016年12月に設立したベンチャー企業だ。

強みは、セキュリティ対策でデータを暗号化した状態のまま、検索や集計などの処理を実現する独自の高機能暗号を用いた秘密計算技術。これをデータベース(DB)と組み合わせてデータを暗号化したまま集積・検索・集計ができるセキュアDB技術および、AI(人工知能)と組み合わせて学習や推論ができるセキュアAI技術を開発・提供している。

従来の暗号技術では、データを処理する際に非暗号状態のデータに戻したうえで計算するのが主流だった。従って、データの保全や計算処理を行う環境は、秘密を保持するために社内などの信頼できる限られた場所に確保せざるを得なかった。システム環境構築の初期投資やメンテナンス費用などもかさみ、エンジニアの生産性まで低下しがちだった。

秘密計算環境にクラウド活用実現

今林社長を支える仲間たち
今林社長を支える仲間たち

対して、暗号化したままの状態でデータ処理を可能にする同社の技術は、限られた環境に代わって、クラウドなどの利便性の良い環境の活用と、コスト削減を同時に実現する画期的な成果をもたらした。

今林社長は「AI開発や運用プロセスにセキュリティは絶対条件だ。企業間のデータ連携や流通が加速している昨今、他社に機密情報を開示しないで済む技術が必要とされるに違いないと思った」と技術開発の動機を語る。

暗号化によるデータ増加のため、秘密計算を実用とする際に遅延が発生するという問題に直面したが、高速処理化に成功。現在は、データベースやAI運用時に必要な機能に絞って強化したものを提供し、一部上場企業などへの導入実績を積み上げている。

「データを守りながら活用しやすくする工夫は、世の中に求められる極めて本質的な技術だ。改良を重ねていくことで、将来はデータに関するあらゆるリスクを見える化し、AI運用におけるリスクテイクに最適な意思決定ができるように保証できるだろう」と、さらなる開発意欲を燃やしている。

情報保護できない企業は淘汰も

新しい技術が生まれる自由な社内
新しい技術が生まれる自由な社内

今林社長は、革新的かつ潜在成長力の高い事業や社会的課題の解決に資する事業を展開するベンチャー経営者を称える中小機構の表彰制度「Japan Venture Awards 2020」で、中小企業庁長官賞を受賞した。

「受賞は、周辺関係者の評価を獲得している。当社のデータセキュリティ技術を世界に広く届けたい」と抱負を語る一方、「GDPR(EU一般データ保護規則)が示しているように、情報漏えい防止やプライバシー保護対策が十分でない企業への批判や罰則は厳しくなるだろう」と警鐘を鳴らしている。

「データ活用時代では、あらゆるものがインターネットで流通する。個人情報さえも解析されてしまう中で、データ処理プロセスを暗号化することが新たな時代の安心につながっていく」と独自技術への期待を膨らませる。

今後は各種業界のリーダーらと提携し、OEM生産や製品販売を通じて事業を拡大していく方針だ。

※掲載している内容は、4月7日に発令された緊急事態宣言前に取材したものです。

企業データ

企業名
EAGLYS株式会社
Webサイト
設立
2016年12月28日
資本金
1億円
従業員数
25人(役員とアルバイトら含む 2020年5月現在)
代表者
今林広樹氏
所在地
東京都渋谷区代々木1-55-14 内海ビル301
事業内容
秘密計算技術およびAI技術に関する研究開発、秘密計算プラットフォーム「DataArmor(データアーマー)」の開発・販売、AIに関するコンサルティングおよびシステム開発