建築業の人手不足の次に着目した地域の社会課題は遺品整理だった。悪質な遺品整理業者から法外な料金を請求されるというニュースをたまたまテレビで見た坂本氏は「善良な業者がいれば、こんな被害は出ないはず」と考え、2015年に遺品整理業に着手。自身が遺品整理士という資格を取得するとともに、葬儀会社などと協力して認知度の向上を図った。
遺品整理を始めて間もない頃のことだった。両親を亡くしてから5年ほどの間、遺品が整理できずにいた60代の女性から依頼を受けた。松江市内に住む女性は、空き家となった出雲市内の実家に足を運び、整理に取り掛かるのだが、思い出の品々が出てきては当時のことを懐かしみながらしみじみと眺めてしまい、作業は遅々として進まなかったという。依頼を受けたLCCは4日間で整理作業を終えたが、その際、女性から「ありがとうございます。これで少し前に進めそうです」と感謝の言葉を受けた。「そのときは、『ああ、この仕事を立ち上げてよかった』と心の底から思った」と坂本氏。現在はJAしまねの葬祭センターと連携して県内全域で事業を展開している。また、遺品整理に付随して空き家の処分について相談を受けることが多く、同社はその後、空き家の解体や不動産の売却にも事業を広げていった。
不用品の片付けも手掛けている。亡くなってから行う遺品整理ではなく、生前に家の中を片付けようというものだ。「高齢になると家の中を片付けるのが億劫になる。やがてゴミ屋敷のような状況になり、その中で亡くなるというケースもある。それは本人にとっても家族にとってもかわいそうなこと」と坂本氏。遺品整理を含めた生活支援事業について知ってもらおうと、今年7月からは高齢者が訪れることが多い郵便局や温泉施設などで「暮らしのお困り事相談会」を開催している。