このように行政との連携を重視してきた同社は、行政からの指摘や助言でSDGsに取り組むこととなった。最初のきっかけは同社が展開していた「仁風閣(じんぷうかく)貴婦人プロジェクト」だった。これは、鳥取市内の白亜の洋館で、国の重要文化財である仁風閣をモチーフにして鳥取発の地域ブランドを創出しようというプロジェクトで、その一環として、市内観光の回遊性を高めるため、2012年に三輪自転車タクシーを導入し、運行を開始した。当初はフランスから輸入した自転車を活用していたが、翌年に電動アシスト付き三輪自転車「プリンセスキャリッジ」を独自開発した。
これを目にした県職員からの勧めで、2013年12月に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2013」に「プリンセスキャリッジ」を出展。すると、会場を訪れて同社のさまざまな取り組みを知った金融関係のコンサルタントから「CO₂削減につながる取り組みを行っている。環境省のカーボン・オフセットの認証を受けてみたら」とのアドバイスを受けた。それに従って事業に応募したところ、温室効果ガス吸収量増加につながる広大な森林を管理する鳥取県日南町からオフセット・クレジット(J-VER、現在は「J-クレジット」に移行)を購入することで2014年に環境省から認証を受けるとともに、県からは「J-VERとっとりの森を守る優良企業」と認定された。また、ほぼ同時期に、県の事業として太陽光発電パネルを同社の施設内に設置。さらに、経済産業省から次世代自動車充電インフラ整備促進事業の認定を受け、EV(電気自動車)普通充電器2基も設置した。こうした一連の流れの中で、「SDGsのゴールであるクリーンエネルギーや環境問題への意識が高まっていった」と福嶋氏は話す。あれよあれよという間に事が進み、知らず知らずのうちにSDGsに取り組むこととなった格好だ。