これまでに開発し、打ち上げた人工衛星は9機にのぼる。初号機は10キロほどの超小型衛星だったが、少しずつ大型化。15年に事業化したAxelGlobeを提供するために打ち上げた5機の衛星は100キログラム級だ。
「衛星のデータを活用したいが、まだまだ自分で衛星を持つリスクが大きいと感じる」。AxelGlobeは、そういった企業に代わって自らリスクを取って衛星を打ち上げて運用し、観測データを民間に提供し、利用してもらう。
「当社の衛星は、観測幅57キロメートルと広域で撮影できるところが特徴。農業や土地管理、防災、地図作成など地球上の広いエリアを観測したいというニーズを持つ企業などの利用が広がっている」と中村氏。今後も人工衛星コンステレーション(人工衛星群)を増やす予定で、「1日1回、地球上のどこでも観測できるようにすれば、より顧客にニーズにタイムリーに応えられるようになる。まずは10機体制を目指したい」と意欲を示した。
一方、新たにスタートさせたAxelLinerについて、中村氏は「まだ研究・開発の段階だが、24年第1四半期に実証衛星初号機を打ち上げる予定。23年後半以降には、新規の案件を受注できるようにしたい」との見通しを示した。
中村氏によると、100キログラム級小型衛星に対する需要が急拡大し、衛星製造の依頼がひっきりなしに寄せられているという。顧客のニーズに応えるため、2年に1機開発・製造するペースをさらに加速させ、25年以降には変動する受注に応じて年間50機程度を量産できる体制を目指す。ノウハウを持たない顧客に打ち上げから運用にかかわる煩雑な手続きや作業をワンストップで提供できるようにする。実現すれば、さらに多くの人々が宇宙を利活用できる環境が整う。
「われわれのような宇宙ベンチャーが増えているが、せっかく衛星を打ち上げたのに基本的なところでつまずいて、宇宙空間でやりたかったことを実現できなかったということも少なくない。基本はわれわれが信頼性高く運営し、宇宙ベンチャーは目的・ミッションに集中する。そういう需要にも応えたい」と中村氏は語った。
宇宙ビジネスの世界市場規模は40年に100兆円になるとの予測がある。だが、日本は欧米に比べ出遅れているとも指摘される。小型人工衛星ビジネスのパイオニアとして中村氏が牽引し、切り開いた道から宇宙を目指す後進たちが数多く羽ばたけば、日本が世界にキャッチアップする日もそう遠くはない。