犬嶋副社長はそれでもあきらめなかった。犬嶋社長も「男性とか女性とか言っている時代ではない」と背中を押した。女性技術者を初採用、現場に派遣した。当初は犬嶋副社長も同行して、施主にも説明するなど、手探りでのスタートだった。ところが、ふたを開けてみると、職人たちからは大好評。親切に迎えられた。中には頑固に口をきかない職人もいたが、女性技術者が毎日「おつかれさまです」と声かけを続けることで、次第に返事をするようになっていった。施工現場の雰囲気は目に見えてなごんでいったという。「そもそも建設に従事したいと考える女性は肝が据わっている。少々の厳しさは十分に覚悟して入ってきてくれた」(犬嶋副社長)。女性に現場は難しいという事前の声は杞憂に終わった。同社はこうした実績を踏まえて経営理念を作り直し、「女性目線の建設業」を経営の前面に打ち出し、新規の顧客開拓にフル活用した。
この女性目線というフレーズや顧客開拓には、同社の顧問で中小企業診断士の秋田舞美氏のアドバイスも生かされた。秋田氏はマーケティングに強い診断士として活動している。同社の「こうしていきたい」という方針を聞き、その思いを社会にしっかり届けるブランディング手法を同社に伝授した。ウエブサイトも一新し、社員が生き生きと働く姿を発信した。