「はじめはまぁ、そんな思うようには売れませんでしたね」。
設計事務所に営業をかけて、注文が入るのを座して待つだけでは利益につながらない。数本ずつ売っても割に合わないのだ。こんなに魅力のある建材なのに、「みんな古材なんてほしくないんだ?」と気落ちすることもあったというが、事業を振り返ってみると「ターゲッティングが甘かった」ことに気づく。そこで2009年、自社でショールームを展開し、こちらから建築デザインのアイデアごと売り込むことにした。長野にはそれほどマーケットがないため、東京の拠点を中心に飲食店にターゲットをしぼり、プレゼンテーションもより具体的になった。ちょうどこの年に始まったデザイン会社と内装工事を希望する飲食店のマッチングサイト「店舗デザイン.com」のコンペに積極的にデザインを出し、勝ち続けることで古材を用いたデザインの周知に尽力した。
なかなか軌道に乗らない古木事業だが、「先見性のありすぎる挫折」と浩明氏は一笑に付す。これほどまでに積極的にビジネスを仕掛けていけるのは、浩明氏には勝算があったからだという。
「事業を開始するにあたって重要視するのは“失敗しない確率”なんです」と浩明氏。つまりポテンシャルの高さを意味するが、浩明氏には明確にその判断基準がある。「銀行がお金を貸してくれることと、自治体などの補助金の対象になるか、ですね」。どちらも融資(補助)するに値するとお墨付きをもらったようなものゆえ、自信をもって突き進んでいけるというわけだ。